読書感想(小説)
いよいよこの戦いも終盤戦。 これまで、この物語は劣勢になりながらも希望を残して終わってきた。 だが、今回は絶望がちらつくラストになってしまった。 勇猛で義理堅い播磨武士の気質と、名門・別所家のプライドが、当主・長治をがんじがらめに縛り付ける様…
統括・宣凱再び。 北方御大久々の大増量回(150枚掲載!とある) 実は枚数だけみると、大水滸伝連載時と同じ枚数。 チンギス紀が大水滸伝よりも1号当たりの枚数が少ないことが改めて浮き彫りに。 御大、やはり往年のペースで書くのは難しいんだろうな。 まあ、…
千家三部作の完結編。 3つの千家誕生につながる、宋旦と5人の子供たちの生涯。 ここまで来ると、創始者?の利休の姿はもはや伝説化して、はるか彼方の存在だなあ。 時代は既に江戸時代、太平の世が到来している。 宋旦はともかく、その子たちの世代になると…
伊東さんの西郷三部作、その二作目。 実はこの作品が他の二作品をつなぐ、超重要な一作となっている。 『飛ぶが如く』で、その特質すべき性格と役割で、知名度を一気に上げた川路利良。 征韓論で対立する西郷と大久保、どちらにも組することなく、また西郷に…
千家奔流 作者: 井ノ部康之 出版社/メーカー: 読売新聞社 発売日: 1995/06/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (1件) を見る 千家再興 (中公文庫)の続編。 実は前作の中で、利休死後の千家についての結末は既に描かれている…
映画のノベライズ版。 福井小説とは違い、どうしてもなぞっている感があるので臨場感に欠けるのが残念。 また、ユニコーンラストで示唆されたその後の世界と、元々の宇宙世紀の流れと少し風潮が違う気もするなあ。 ちなみに文面ではユニコーンは残っていると…
誰かの言うとおり行動して、結果が出たら楽だよなあ。 それって、生きているって言えるのか、という声が聞こえてきそうだけど、じゃあ、相手が自分の言うとおりに動いてくれたら楽だ、って思いません? そう思った方、それって、相手を生かしてない、ってこ…
茶の湯の大成者・千利休。 彼には二人の息子と娘がいた。 偉大な父の跡を継ぐことは並大抵のことではない。 継ぐものは目に見えるものではなく、“心”なのだから・・・ 稀代の父の生涯は波乱に満ちたものだった。 残された者たちには、その跡を背負う人生が待…
「俺の父は、天。俺の母は、地」 声に出して、呟いてみた。 テムジンVS玄翁 最終決戦。 少しずつ、少しずつ削られていく玄翁隊。 まるで死兵のように、死ぬまで戦い続けていく・・・ 名が出ることも無く散っていく弟子たち。 あっ、あっ、と声が出てしまう・…
近年の、読者における歴史小説の位置は大きく変化した。 これまでの要素を大枠で項目化すると 「歴史を知る」+「物語を楽しむ」+「人生に活かす」 というところだった。 歴史小説はある種のフィクションでありながら史実も学べる、と思われており、今なお…
「いつの日か、わしは、そなたを殺すことになるかもしれぬ。それでもよいのか」 「構いませぬ。その時は、殿下も豊臣家も破滅することになりますから」 文庫版再読。 やはり、秀吉と利休との関係の崩壊は、予期していたとはいえ驚きと冷たさが同時に来たなあ…
一話まるまる合戦という、チンギス紀始まって以来?のすさまじい展開へ。 なんだけど・・・ おいおい、そこで終わるのかよ御大! ここまでの展開からすると、勝敗ははじめから見えていた気がする戦い。 ところがどっこい ここ数回でタルグダイが、領主として…
約3ヶ月に一回の連載が続くこの作品。 次第にテイストが大好きになってきて、連載が楽しみ。 少しずつ滅びに進む三木城と、過ちや暗い過去をひきずりながらも懸命に生きる人々の姿。 そのコントラストが胸に染み渡るなあ。 1話からは想像も付かないほど、別…
「俺は玄翁を倒さないと、前に進めないんだ!」 みたいなテムジンの声が聞こえてきそうな展開(笑) 以前、玄翁軍の偽装部隊に、テムジン軍全軍がそこへ向かい突進して、殲滅した、ということがあったが、あれ、本心だったのか・・・ テムジンの心が、大きな…
ふと、仮面ライダージオウを思い起こしたよ(笑) それだけ、歴史を変えたらどうなるか、という展開において、想起させる要素が多かったからかな。 信長が三国志の時代に行き しかも孫権になって 魏の曹操や、劉備になりすました未来人と闘う、というぶっ飛…
独特の文章だ。 試しに音読してみると、妙に耳障りがいい。 そして、文そのものより、文が生み出したその光景や人物の絵が、浮かび上がってくる。 なんとも 不思議な体験だったなあ。 日本史の中で独特の輝きを残した10人の女性達を取り上げた短編集。 なの…
薩長土肥 幕末の雄藩を指す言葉。 その中で末尾に名前が載りながら、その実力は四藩の中で最も高い水準を秘めておきながら、表に出てこなかった藩・肥前佐賀。 当時、日本で最も進んだ国でありながら、変革の先導を歩まなかったのはなぜか。 その佐賀藩の藩…
テムジンとジャムカの前にそびえ立つ不倒の魔人。 たった五十騎で戦況を一変させる強さ。 この三巻はこれに尽きる 北方大水滸伝読んできた方なら、林沖騎馬隊や幻王隊を想起したのではなかろうか。 www.motiongreen.net www.motiongreen.net www.motiongreen…
予想していた玄翁との決戦はお預け。 決戦前にはっきりさせておきたかった、父の死の真相。 なんだか、玄翁との戦い前に高ぶりすぎじゃないか?と思うほど、テムジンは狂気を隠さなくなったな。 死の真相、というと、岳飛伝でも、楊令の暗殺の真相を追う、と…
伊東さんの読書会に向けて久々に読んだ(よくよく考えたら、文庫版読んだの初めてかも) 今さらながら、ものすごい分厚い文庫本だなあ。 600ページ越えという、まさに歴史小説の中でも屈指のボリュームだ(笑) タイトル通り、信玄亡き後、長篠で多くの重臣…
あの森林での大虐殺の余波が大きすぎる。 なんせ実行したトクトア自身が残影引きずってる。 鮮やかに勝ちすぎても良くないんだろうなあ。 優勢だったケレイト王国の敗走によって、モンゴル民族同士の戦いは再び混沌の中へ。 そして、ついに、金国が、動く。 …
作家・伊東潤はちょくちょくこの言葉を使う。 『リーダビリティ』 わかるようなわからないような言葉だが、要するに読みやすさ、読み応え、読了感のよさ、ということらしい。 実際、御本人は単行本の文庫化に際して、校正を行い、より『リーダビリティ』を高…
表紙を見たとき、その幻想的な色彩に目を奪われた。 でかでかと書かれたタイトル『平城京』と、その色合いは、自分の中で奇妙な感動を生んでいた。 イメージしていた平城京は、もっとモノクロだったから。 (ホント、勝手な思い込みと知らなきゃいけないんだ…
タイトル(副題)見て、驚いた。 で、読んでみて、さらに驚いた。 前回のメイン・加代が、そのまま本作のメインとして最後までいくのかと思いきや。 今回はメインを変えてくるとは。 ナルホド!こいつは思い込みだった。 連載向きの上手いやり方だ。 www.motio…
それは、終わりではなく、始まり それは結果ではなく、そこに至る過程 例え、望んだものが得られなくても それに費やした時間や行動が、道となって渦となって、人を突き動かしていく。 結局、裁判の結果は変わらなかったし、日本が抱えている問題はこれから…
いなさそうだったのに この世界にもいたよ、ノラ息子(涙) 大軍が勝つとは限らないのは、実際の戦闘でも北方文学でもおなじみなんだけど(苦笑) ここまで派手に負けるとは・・・ 前回、テムジン・ジャムカ連合軍が切り開いた、トクトア撃退の道。 ケレイト王国…
決戦シリーズで唯一?単行本読み損ねた1冊。 で、文庫版を機に読んで見たけど、総合点じゃ完成度はイマイチ。 どうした、みなさん、って思ってしまった・・・ 信玄や謙信の深掘りをほとんどの方がしていないことと、比較的みなさん通説寄りな展開だったため…
短編集。これぞ、って感じ。 時代バラバラで、背景も、題材もどこか違うものばかり。 でも、根底にある意地とか、信念とか、誇りとか。目に見えない不屈の思いが根底にあるのが、読んでいて伝わる。 まず時代や地域のチョイスが渋い。 そして比較的地味で、…
歴史を知るというのは、結果を知るということだ。 その者が偉人だったのか、愚者だったのか、後世に生きる我々は、結果を知っている。だから、その事実が間違いではない限り、我々の基準が変わらない限り、偉人は偉人。愚者は愚者のままだ。 自然と、偉人は…
前回、ようやく現れた起死回生の証人。 これが頼みの綱 と 期待して、今回の第8回。 出てくる機会すらない結末、 「えーーーーーーーーーーーーー!」 そりゃないよ伊東さん(涙) あの煽りは何だったんだ(苦笑) 予想していたとはいえ、五十嵐はやはり助からな…