モーション・グリーン

ブログ開設14年目!今年も「紡ぐ」発信を目指す読書・アニメ・特撮感想ブログ。

読書感想(歴史)

読書感想:『塞王の楯』 第七回(小説すばる 2020年 2月号 [雑誌]) ~ この城主にして、この妻あり(苦笑)お人好しの国を守る!匡介の決意が高まる回~

塞王に守られた人がいた。 その土地をいい場所にしようという思いがあふれていた。 お人好しの城主が守ろうとする街・大津。 図らずも匡介の求めた環境がそこにあった。 それにしても、城主も城主なら、妻も妻(笑)。 今も昔も、本人は善意のつもりで色々言っ…

読書感想:『チンギス紀』 第三十四回(小説すばる 2020年 2月号 [雑誌]) ~ 負けから這い上がる漢、勝って墜ちていく漢~

決戦で敗北した連合軍。 大なり小なりぞれぞれが負けを噛みしめているなか、この漢は西で大きく躍動する。 縛るものがなくなった?ジャムカ。 家族とか、親戚とか、いろんなことが足かせになっていた雰囲気はあったけど、ここまで闘志の炎が燃え上がっていた…

読書感想:『勝海舟と幕末外交 - イギリス・ロシアの脅威に抗して』 (中公新書) ~際どいバランスの上にあった幕末日本の実態~

幕末、江戸幕府と海外諸国との間で繰り広げられた熾烈な外交戦。 日本(幕府)は一歩間違えれば、対馬か蝦夷地(北海道)が列強の植民地になる可能性を秘めていた。 (事実、そういう打診をしてきた国は存在している) 幕府内でも「○○国と組むべきだ」みたいな意見…

読書感想:『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』~ 歴史認識の解像度が上がる1冊~

座談会(対談)本ってたいていはおもしろくない。 要約になっていたり、お互いの意見をなぞっただけ、で終わることが多いからだ。 けど、この本は違う。 周りを気にせず、お互いの知識や見識をノーガードでぶつけていき、波長がピタリとハマると生まれる知的ユ…

〈けど、きっとどうにかなります〉読書感想:『三木城合戦記』 命、散りゆけど(後編 最終話)(小説すばる 2020年 1月号 [雑誌])

開城、そしてその後を描いた最終回。 何かあるんじゃないか まだ波乱があるんじゃないか とビクビクしながら読んでいた。 加代たち名も無き領民や、伊織ら有志の別所武士団からすれば、開城して命救われればそれでよい、ということではない。 手術が成功した…

〈政治主導ってめんどうだ〉読書感想:『剛心』 第三回(小説すばる 2020年 1月号 [雑誌])

前回から引き続き政治主導のご都合展開にげんなりする展開。 現場からするとやりきれない思いをさせることばっかりだなあ。 井上馨、もう少し仕事してくれ(苦笑) 外交方針が変わり、内閣が変わる。 未だ長州や薩摩出身といった派閥が政治の中心を取り合う時…

〈儂は戦に疎い。縄張りは任せる〉読書感想:『塞王の楯』 第六回(小説すばる 2020年 1月号 [雑誌])

匡介、蛍大名・京極高次とご対面。 高次、しゃべればしゃべるほどいい人すぎる(笑) よく生き延びてきたなあ。そこらへんはやはり、“蛍”の存在があるが故の開き直り、なのだろうか・・・ ちなみに、雑誌連載なので挿絵があるのだが、描かれていた高次はえびす…

〈新しい戦の絵図を、俺は描きたい〉読書感想:『チンギス紀』 第三十三回(小説すばる 2020年 1月号 [雑誌])

大戦は、勝敗だけを決めるのではない。 勝った方も、負けた方も、何かが変わる。 そしてそれは、いい風に変わるとは限らない。 草原の覇権を廻る総力戦を制したテムジン。 事後処理や周辺掃討を他武将に任せられる人材豊富ぶり、盤石な体制に見えてきた。 今…

〈これが、生きるということだ〉読書感想:『チンギス紀 六 断金』

金国と最も近かった民族・タタル族。 テムジン達にとって仇敵とも言える彼らが、金国と対立関係に。 金国VSタタル族に、テムジンは金国側として参戦。これが周辺の民族との関係を一気に悪化させる。 ジャムカとの別れ。 草原が赤く染まる予感。 そして、夢…

〈役人に対する江戸市民の通信簿〉読書感想:『『よしの冊子』にみる江戸役人の評判 武士の人事評価』 (新人物文庫)

江戸時代後期、松代定信が老中の時代。 幕閣や奉行に対する町人の評判は、意外と実態から外れていなかった! まるで町人による通信簿のようなことが記されている『よしの冊子』。 これを中心に、江戸時代の役人の実態を分析解説した1冊。 評判良かったのに…

〈なんだってそんな中途半端なことをするんだ〉読書感想:『剛心』 第二回(小説すばる 2019年 12月号 [雑誌])

政治主導って、いつの世も面倒くさい!! ドイツに派遣された日本の若き建築家と職人たち。 異なる環境、言葉の壁、そして西洋建築全体に関する尽きない疑問。 そんな中でも短期間で正式な設計図を作成しなければならない。 しかし、新しい日本を担う意気込…

〈もう終わりにしようではないか〉読書感想:『三木城合戦記 命、散りゆけど(前編)』(第7回 小説すばる 2019年 12月号 [雑誌])

最終回前編。 すでに限界を超えた三木城。 命を賭けた幕引きへの戦いが始まる。 これだけの狂気じみた状況になれば、和議なんて口に出した時点で、味方に殺される。 戦いは始め方より終わり方が難しい。終わらせる方も命がけ。 もはや敵は外ではなく内にある…

〈最強の矛、現る!〉読書感想:『塞王の楯』第五回(小説すばる 2019年 12月号 [雑誌])

ついに現れた、最強鉄砲集団・国友衆。 そしてその鬼才・国友彦九郎。 現時点における“最強の矛”。 実績も知名度も匡介よりはるかに上。 そして、先々への需要も、目指す先も・・・ 絶対の戦力があるから戦いは起きづらくなる VS 絶対に落ちない城があるか…

〈よく、眼を開け〉読書感想:『チンギス紀 第三十二回』(小説すばる 2019年 12月号 [雑誌])

草原の覇者をかけた壮絶な戦い、いったんの完結。 丸々合戦パートという、息抜きが全く出来ない回。 しかも、岳飛伝ラストを彷彿とさせる全軍入り乱れての激闘。 第二部(仮)の終わりを告げるにふさわしい戦いの数々だった。 武力で若干勝るジャムカに対し、…

〈すごい作品が選ばれた!〉読書感想:『言の葉は、残りて(抄録版)』(小説すばる 2019年 12月号 [雑誌])

第32回小説すばる新人賞受賞作。 歴史小説が選ばれた、と書かれてあったので試しに読んでみてビックリ! 新人賞ってこんなにクオリティ高いのか!! 京都から頼朝の子・実朝に輿入れしてきた信子。 境遇を嘆きながら見ず知らずの東国へやってきた彼女を待ち…

〈始めたなら、終わらせろ〉読書感想:『三木城合戦記 餓鬼と修羅 第6回』(小説すばる 2019年 9月号 [雑誌])

戦国時代、数多ある籠城戦の中でも特に凄惨なものとして取り上げられる三木城攻防戦。 秀吉による、犠牲の少ない戦い方として、一時は勝算の声すら上がっていたこの戦いも、最近では籠城側からの視点も意識されるようになり、その地獄絵図が、完全包囲の残酷…

〈これは“教科書”じゃなくて“強化書”だ〉読書感想:『戦国の教科書』

甲冑武士が手を挙げている表紙。 裏表紙では、坊さんも南蛮人?も女性もみんなで授業。 なんだか和気あいあいとした雰囲気。 加えて「戦国の教科書」というタイトル。 ビギナー向けなのかな、と思って開いてみる。 見事に騙された。 玄人をも唸らせる短編が…

〈なにゆえわしが、街造りを先導せにゃいかんのじゃ〉読書感想:『剛心』 第一回(小説すばる 2019年 11月号 [雑誌])

新連載。 明治十八年東京、官庁集中計画のため、東京の街作りプロジェクトリーダーを勤めた井上馨の物語。 一流と思って頼んでいた外国人建築家が本国ではさほど著名じゃなかった事実とか メンバーが好き勝手言って収拾が付かないとか やるきのなさそーなメ…

〈やれる。三の石垣を守りつつ、甲賀衆を撥ね除けられる〉読書感想:『塞王の楯』 第四回(小説すばる 2019年 11月号 [雑誌])

日野城攻防戦。 戦闘が繰り広げられるなか、防備固める(石垣積む)って、いざその状態になると怖すぎる。 どう考えても無理そうなこの状況。 でも窮地の発想転換シーンは、どの作品でも燃えるな! 石垣(石積み)に関する知識、コツ、実態など、とにかく石垣作…

〈戦に在りて沸滾る命、死して尚駆け廻る〉読書感想:『チンギス紀』 第三十一回(小説すばる 2019年 11月号 [雑誌])

ついに始まった、草原の覇者を決める戦い。 ジャムカのなりふり構わない戦いが緒戦から意外な形でテムジンを襲う。 これまでモンゴル民族が持たなかった"拠点"の存在。 危なくなったらすぐ移動できる、という利点からの脱却を図ったことが足かせになるかも、…

〈大御所様の身はわたしが守りますのでご安心を〉読書感想:『将軍家康の女影武者』

実在した家康の側室・御奈津(清雲院)を描いた歴史小説。 家康を女性目線で見つめたその目線が新鮮。 9割考えているのだけど、最後の一押しを御奈津に委ねてしまうところが、小心なのか茶目っ気があるのか・・・ 男目線で読むと、御奈津でしゃばりすぎ!と随…

〈天災を歴史から見る〉読書感想:『秀吉を襲った大地震』 (平凡社新書)

近年の歴史研究は多角的だ。 天候・地形・文化などなど、あらゆる方向からその原因を見つけ出す。 偉人が起こした業績が、想定された出来事だった、で片付けることはなくなってきているのだ。 そして意外と知られていないのが、地震や災害と当時の日本人がど…

〈俺は・・・・・・あの日の花代を守る〉読書感想:『塞王の楯 第三回』(小説すばる 2019年 10月号 [雑誌])

過去編。 信長を殺した光秀への賞賛の思いで胸がいっぱいの匡介。 やはり当時は憎しみが強かったんだな。 そしてそこに本当の使命を改めて叩き込む源斎が熱い。 雇われればどこにでもつくリアリスト でも胸の底に秘めたのは「お前は何を守る」に応えられる、…

〈奥方様は、大事なものを失われるかもしれません〉読書感想:『チンギス紀 第三十回』(小説すばる 2019年 10月号 [雑誌])

ついに、医師に薬師まで合流したテムジン軍。 前回の法律家に続き、着実に国づくりに必要なメンバーが続々登場。 ホント梁山泊みたいになってきた。 ベルグティの病が気になるところだけど・・・ 決戦まで組織としての充実が増していくテムジン軍。 先を見据…

〈光と影が入れ替わるとき〉読書感想『史記 武帝紀 四(文庫)』

始皇帝以来の泰山封禅を実現 異民族を北へ追いやり、東へ南へ版図を拡げた 領土は自分が帝になる前よりはるかに拡がり、国は豊かになっていく。 だが、中身は少しずつはっきりと薄くなってきた。 1巻から武帝をおしあげ、漢の躍進をつくりあげた衛青がいな…

〈ほんとうに望んでいるのは、安逸からの脱出だった〉読書感想:『水滸伝 8 青龍の章』 (集英社文庫 き 3-51)

まるまる攻城(要塞と化した街の攻略)戦。 兵力と将校、戦略と謀略、そして人脈と志などなど、持てる全てのものをつぎ込んだ梁山泊の総力戦。 北方水滸伝エピソードの中で屈指の人気を誇るこの話し、ヒリヒリする展開がヤミツキになる! 地味なところからコツ…

〈見事に、生きたのだ〉読書感想:『史記 武帝紀 3』 (ハルキ文庫 き代小説文庫)

霍去病という英傑を得て、武帝の匈奴討伐は最終段階へ。 ただ、ここでも小さな判断が命運を左右する。 意地と命の終え方にこだわった李広の思い 偶然の一瞬で勝利を手にした衛青 そしてとどめの一手が届かなかった霍去病 届かなかった。それでも新たな時代の…

〈愉しかったな。ただ、そう思った〉読書感想:『水滸伝 7 烈火の章』

軍隊を派遣して鎮圧する。 それだけでは潰せない、ということがわかり、組織としての総力戦へとシフトしていく青蓮寺。 梁山泊主要メンバー・宋江の捕獲 梁山泊の資金・経済力の源を叩くこと。 相手が少人数でも容赦ない差配。 次々と考え出される梁山泊つぶ…

〈気持の中に切れ目ができ、そこから重たいものがすべて流れ出していくような気がした〉読書感想:『水滸伝 6 風塵の章』 (集英社文庫 き 3-49)

感覚的には第二部のはじまりの巻。 楊志達の死や、二竜山壊滅の危機などがあったせいか、読者も梁山泊にも緊張感が漂っている気がする。 初めての大きな犠牲。 それでも止まることを許されない梁山泊は新たな同志を迎え、さらに先を目指す。 変化を遂げた魯…

〈行きます、おじ上〉読書感想:『史記 武帝紀 2』 (ハルキ文庫 き代小説文庫)

漢と武帝、飛躍の第二巻。 いいときは何やってもきちんとハマる。 でも一端悪い目が出ると途端にいやーな方向へ流れていく。 衛青が戦場に出て行くようになって連戦連勝。 勝つことが当たり前になり、明確な目標が一時的に見えなくなってしまう。 「とりあえ…