モーション・グリーン

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武装錬金 第11話「死が2人を別つまで」感想

 なぜ、2人は人を捨てようとしているのか  なぜ、2人は戦っているのか  知ってもなお、僕たちは守ろうとできるだろうか  2人を生み出したのが、僕たちが守ろうとしている世界だったとしても・・・

 ○闇が生み出した者たち  早坂姉弟が語る、2人の出生の謎、そしてLXE加入の理由。それは、大きな大儀も理由もなかった。ただ2人は生き延びたかった、死が2人を別つまで。

 原作を読んだときは、おそらく物議を醸し出したのではないかと思いました。幼児虐待、置き去り、食料不足、万引きにひったくり。そうしなければ生きていけないからという、闇の現実。モラルなど問えるわけもない、ここは本当に日本なのだろうか?と問いかけたくなるような、でも、実際に起きている、リアルな世界の現状。信奉者・早坂姉弟を産んだのは、LXEでも錬金戦団でもない、まぎれもなく人間の世界、社会そのものだった。おそらく少年誌でなかったら、この事実について、さらに掘り進めていたのでは、とぼくは思っているのですが・・・  「自分たちの悲劇に周りを巻き込むな」という斗貴子の指摘は確かに当たっているのだけれども、その考え方こそが、隣近所と交流しなくなった、今のつながりなき個人社会の考え方そのものだな、とふと思いました。無論斗貴子自身も何不自由なく生きてきたわけではないので、彼らの気持ちをまるで理解していないわけではないと思いますが・・・

 ○別つとき  全てを語り、2人は追いつめられました。生身の体である2人にとって、もはや体は戦闘できる状況ではなくなった。カズキは2人を懸命に説得しますが、それより先に斗貴子が2人の処分を実行。止めに入るカズキすらも攻撃します。はからずも斗貴子VSカズキという戦闘が発生してしまいます。  一時的に目がそれた2人。ここで、2人の思考が別れます。  「死が2人を別つまで」この言葉を起点にしてきた桜花と秋水。生きようとし、どんなときも2人でいようとしてきた。その思いが  桜花の、生への諦めと、秋水の、生への執念 という形となって現れます。それまでも、覚悟を決め諦めていた桜花に対し、止めに入っていたはずのカズキへ、背後から突きを繰り出す秋水。もはや、穏やかな顔は獣のような形相へ。「姉さんを守る」という執念が秋水を動かしていたとしか思えないほどのすさまじさ。もしここで桜花が動かなければ、今度こそ斗貴子VS秋水の殺し合いになっていたでしょう。

 戦いを終わらせたのは、桜花でした。秋水から受けたカズキのダメージを自分が負うことで、自らの灯火を消そうとしたのです。  「姉さんを守る」その想いでここまで生きてきた秋水。姉のためなら世界を敵に廻すほどの覚悟だった。  でも桜花は、助けを求めていた。あのドアの向こうから誰かが助けてくれることを願っていた。  ずっと一緒だった2人だった、願ったことは同じでも、その前・その先に求めていたものはいつしか違っていた。そして心のどこかで見切っていたのかもしれません、人を、社会を、世界を。  「武藤君が、もしあのドアの前にいたら、きっと助けてくれたんだろうな」「友達になってくれたんだろうな、って」

 ここにこの社会への救いを感じました。そしてカズキは諦めなかった。生きてさえいれば、まだやり直せる。生きている限り、その先を変えることができるのだから。

 この流れでは、早坂姉弟を生み出した社会への責任や問題定義について、多くは触れられませんでしたが、それに対する希望をカズキは示した、というところでしょうか。でももう少し深く触れれば、人が生み出した罪(このテーマに関しては、皮肉にも同じ錬金術系の作品、鋼の錬金術師で触れていますが)に対して、人はいかに向かい合うか、という問いかけをされたように思いました。今後登場するヴィクターも、人の罪によって生み出された者。カズキの試練はまだ続くのです。

 ○Let,sお見舞い  久々のギャグパート。といっても早坂編のクライマックスパートという方が正しいのかもしれません。それにしても、いくら戦団御用達の所とはいえ、変だよ、この病院・・・  それぞれの場所で生きることを選んだ2人。己の内へ、内へ強さを求めていた秋水は、再び内への強さを求めて旅に出ます。  「今までの私たちは、共に生きる誓いをした振りをして、ただお互いに寄りかかっていただけ」と桜花は2人の関係を振り返りました。だから離れるのが怖かった、死が別つならなおさら、、、  でも、実は求めていた、自分たちを救ってくれる者を。そしてその者がドアを破ってきてくれるのを。  本当は待っているだけではいけなかった、閉じこもっているだけでは、景色は変わらなかった。

 これからは、1人で立とう。新しい世界で、共に生きていこう。命がけで守ってくれる人がいる世界で・・・

 ・花束を贈られて、頬を染める桜花。意外とカズキに想いを寄せ始めたとか・・・  ・エンゼル御前しゃべりはじめました。このアニメでなかなかいなかったツッコミ担当がついに出てきた。つうか、さっそくつっこんでくれた。何か嬉しい・・・

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