モーション・グリーン

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月刊水滸伝通信 その1

 文庫版・北方水滸伝四巻が発売されました。

 北方水滸伝については、以前も紹介しましたが、毎月の最新文庫版発売に合わせて、色々紹介したいと思います。とはいうものの、全一九巻ですからねえ。予定で言うと、文庫版で全巻が揃うのは来年の春・・・な、長い・・・文庫版完結する前に、続編の「楊令(ようれい)伝」の単行本が発売してしまいますよ(涙)

 永いお話(しかも未完結)なんですが、今からなら間に合います!!世の中を変えられると信じた漢達の熱きドラマに、ドップリと浸かってみてはいかがでしょう?  ○水滸伝〈1〉曙光の章  水滸伝は、中国宋末期の時代を舞台にしたお話。12世紀に宋国内で実際に起こった反乱が元になっているとか。  日本にも江戸時代に物語が伝えられ、当時の知識人層が読んで翻訳したとか。影響を受けた方も多く、あの「南総里見八犬伝」の世界観の元になっているとも言われています。  が、原本に関しては、時間軸が錯綜していたり、キャラクターが妖術やら魔法やらを使ったり、敵方である宋があまりにも手強くない、など構成としてはSFチックな講談の域を出ず、逆にそういうジャンルとしての評価を受けざるをえない状況でもある。この点、史実として確立され、正当な話しとして伝えられている(無論矛盾、批判、謎の部分はあるにしろ)三国志とは、また違うものがあります。  北方謙三が現実的に矛盾もない展開で、大胆に再構築したのが北方水滸伝。もはや別シリーズと考えてもいいと思います。

 で、第一巻。  宋政府に対し叛旗を翻すことを決めていた晁蓋らメンバーは、来るべき決起の日に備えて、有志を募り兵を鍛えていた。決起後必要なメンバーを集めるため、各地に潜伏している同士達は、密かに連絡を取り合いながら動き出す。  第一巻からかなりの数の登場人物が出てきます(名前だけを含めて)これに圧倒されないことがまず第一歩かもしれません(笑)逆に、「次誰が出てくるんだろう」とワクワクしながら読んだほうが楽しいです。名前はそのうち慣れてきますし一致してきますので(?)  同士勧誘の一巻なので、本格的な始動はまだ先。しかし、禁軍(宋直属部隊)を謀反の疑いで去る王進。同士として動きながらも謀略にかかり、この世の地獄を味わいながらも、後に無敵の騎馬隊を創る林冲、オルガナイザーとして各地を廻り、同士の心の架け橋となる魯智深、心が育たぬまま、力だけを追い求めてしまっている史進などなど、主力メンバーは登場します。もちろん晁蓋、そしてある意味この北方水滸伝の主人公である宋江も登場します。    ○水滸伝〈2〉替天の章  二巻では、メンバーが、その本拠地である梁山泊に入り、いよいよ梁山泊軍としての第一歩を踏み出す過程が描かれています。いわば梁山泊誕生の日です。  拠り所として選んだ梁山湖の要塞。しかし、そこは盗賊の頭領王綸の住みかと化していた。絶望の地獄から生還した林冲に、要塞奪取の命がくだされた。天然の難所である要塞に、志願兵として入所する林冲。闘争を避け、無償で奪取することが最上の条件。果たして林冲は、無事任務を成功させることはできるのか?そして、思いを忘れてしまった王綸の部下達の目を覚まさせることができるのか?  そのほかにも、多くの業を両手に背負い込んだ武松の心の旅や、民の苦しみや軍務の腐敗に惑う楊志など、新たに登場するメンバーも続々と登場します。王進が梁山泊のメンバーを引き取る、いわば再生工場的役割を果たすのもここからです。  

 ○水滸伝〈3〉輪舞の章  三巻は始動した梁山泊の創業の巻です。志でまとまったメンバーが、次々と新たな施策を打ち出していきます。  なかでも、公孫勝を中心とした、闇の特殊部隊・致死軍の結成とその実力ぶりは中々読み応えがあります。ここら辺から明らかになる、宋側の特殊部隊・青蓮寺との闇の死闘は、日本で言う忍同士のぶつかり合い。そんな風に捉えて読むと、かなり親近感が沸いてくるのでは?  また、梁山泊の支所とも言える二竜山や桃花山誕生の話しもこの巻の見所の1つ。前巻で迷いの中にいた楊志魯智深と二人で(乗り込んだのは曹正も入れて三人)二竜山の山賊200人へと殴り込むシーンは手に汗握りますよーーー。  この巻は、強すぎて本当の強さを見失った史進や、優しすぎて致死軍から外される石秀の、挫折と試練の話しでもあります。逆に武松のように立ち直る漢達もいますが。  ここまでは、順調、順調。が、細部にわたって念密に組み立てられた構想ほど、ささいなことで崩れていくものなのかもしれません。そんなことを三巻を読み終えて考えてしまいました・・・  

 ○そして水滸伝 4 (4)  四巻は、宋江は事件によって逃亡。それによって、青蓮寺に補足されることになります。逃げ回りながら民の声に耳を傾ける宋江。果たしてこの国はどうあるべきなのか、魯智深とはまた違ったオルガナイザーとして、志を持つ者たちへ宋江は説き続けます。旅先で出会う、新たな志士達も続々登場しますし、宋江の従者も李逵(原本でも人気があり、この北方水滸伝でもベスト20に入るほどの人気ぶり)らが加わり、一層にぎやかになります。が、加わるまでに、純粋な李逵にとって、過酷な運命が待ち受けているのですが  その一方で、青蓮寺は、梁山泊への警戒を強化します。そして宋江絡みのの事件を利用して恐るべき謀略を進行させます。明るい展開の裏で、少しずつ死神が微笑み始めます、そう、戦いはまだ始まったばかり・・・