モーション・グリーン

2018年、目標は読書300冊読破!のはずが、ここにきて400冊に変更?!進捗は当ブログで随時更新中。他には特撮(仮面ライダー)・ドラマ・アニメの感想などなど。

北方水滸伝 名言集7

 「銭と無縁で暮られてはいけません。それは人の営みを忘れるということでもあるのですから」

                                               魯智深

 史進に武術を教え、母とともに旅立った王進。彼が国の西部・子午山にいることを突き止めた魯智深は、彼の元を訪れるべく西へ向かった。その道中、彼は一人の男に出会った。魯智深に襲い掛かったその男ー鮑旭ーは、まるで獣に育てられたかのような狂気を発していた・・・

 

 この時代が生んだ、人の形をしたけもの。

 王進と再会した魯智深は、鮑旭を王進のもとで人間としてうまれ直させてほしい、と頼む。それは、内に向かいすぎている王進の武術を生かすことにもなる、と考えたからだ。王進は快く承諾。魯智深はそのお礼にと、金銭を渡す。固辞した王進に、魯智深が言った言葉が上記のものだ。

 

 理想は美しい。お金に頼らず、惑わされず、境地を極めようとする王進の姿勢は新鮮で眩しいものだ。だが、この世は資本社会。お金がなければ生活することは難しく、頼らずに生きようとすれば大事なものすら我慢しなければならなくなる。それは本末転倒のはずである。人を不幸にするほどのお金がある必要はないが、せめて大事を成すためのお金はもっていてもいいのではないでしょうか。

 

 魯智深が属する梁山泊は、現実的な集団である。彼らが何より重要視したのは、志、人、そして補給路、つまり食料やお金である。国と戦うことは、長い戦いになるということ、勢いや根性といった精神論でどうにかなるレベルではないということを、彼らは意識していた。 食べ物があるから後方を気にすることなく戦えるわけであるし、お金が足りているから武器やその材料、食料などを購入し、大事の際に不足無く挑むことができる。精神論に走りがちな革命論者より、彼らは細かいところ、そして大事なことを見逃してはいない。

 

 魯智深もまた、理想の志を抱く、現実主義者である。彼は、ともすれば内への精神へ向かおうとする王進に、現実として必要なものを見失わないように、と金銭を渡したのだ。そうぼくは感じた。王進が今後生活に困らないよう、そして境地への道を進んでほしいという、願いをこめて。

 金銭を渡す代わりに、魯智深は王進にお願いをした。これからも、人を預かってほしい、と。そしてその言葉通り、この後も王進の下へ様々なものたちがやってくる。挫折を味わったもの、深い傷を負ったもの、そして悲しみを癒せないもの。 王進は、彼らと向き合う。自分のような狭いものにならないために、世界のために生きられる人間を育成するために。

 「王進道場」とぼくが勝手につけている、子午山・王進宅。門下1期性・鮑旭、彼はここから生まれ変わっていく・・・