モーション・グリーン

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楊令伝

 ーあの戦いから3年。今度こそ、本当に宋を滅ぼすー

4087748588楊令伝 一 北方 謙三 集英社 2007-04-25 by G-Tools

 北方水滸伝の続編。主人公は楊令。梁山泊のメンバーの一人、青面獣楊志の遺子であり、梁山泊最後の戦いで宋江の最期を看取った人物。原典には登場しないオリジナルキャラクター。そして、原典とは異なる展開となるこの「楊令伝」も完全にオリジナル・ストーリーということになる。  宋江をはじめ、多くの仲間たちが非業の最期をとげ、梁山泊が壊滅した戦いから3年。物語は、燕青が梁山湖から、隠された銀を回収するところから始まる。傷を負いながらも、残された者たちは「替天行道」の志を捨ててはいなかった。呼延灼、張清、史進はそれぞれ2000の兵をまとめ、再起を狙って雌伏していたが、残党狩りから身を守ることしかできない日々。再び立ち上がるために彼らが新たな頭領に押し立てようとしているのが、行方不明になっている楊令だった。楊令への不安や期待が入り混じる中、行方を追って、武松・燕青・そして亡き侯健の息子の侯真は北へと向かう。  武松、燕青、孫二娘など、懐かしい人物たちに加え、花栄の息子の花飛麟、秦明の息子の秦容など、2世キャラクターも次々と登場する。  1巻で語られるのは「負ける」とはどういうことか、ということ。志への想いの強さとは裏腹に、ままならぬ現実は、疲労と絶望の陰を常に彼らに感じさせる。それでも、懸命に動き、働き、願う同士たちの生き様は、痛々しくもありながら愛おしさを感じさせる。純粋で一途な彼らの姿は、本当の強さと弱さ、固さと脆さをにじみ出す。    前作以上に、多くの勢力が入り混じるこの時代。既に金国がほぼ成立し、遼に迫ろうとしている。また、梁山泊に打ち勝った宋国内や青蓮寺内部にも変化が生まれてきます。この後、宋、遼、金による争いが起きるだけに、勢力図争いにも注目です。史実では1125年に遼が滅び、翌1126年には金によって北宋が滅ぼされる。その中で、楊令たち梁山泊の残党はどんな働きを見せるのか?   

4087748669楊令伝 2 北方 謙三 集英社 2007-07-26 by G-Tools
 遂にその姿を現した楊令。幻王と名乗り、金国でその強さを恐れられるその男に、燕青は梁山泊の棟梁として迎え入れようとする。しかし、楊令はこれを拒否する。    「梁山泊では、宋には、童貫には勝てない」    梁山泊を再建させることに力を注ぎ、再建させれば勝てると信じる同士達に、楊令はきわめて残酷で現実的な考えを示す。その一方で「俺が宋を滅ぼす」と断言する楊令。果たして、彼は何を考え、何を想うのか・・・  一方、もう1人の‘生きていた男’呉用は新たな戦力を練る。その戦略に沿って、呉用は南方へ潜伏。方蝋という男に接近する。  北で極秘に行われた宋金間の同盟、不穏な動きを見せる南方。いま再び、宋全土を揺るがす事態が動き出していた・・・  というわけで、第2巻で、ついに楊令が登場します。まだ実態が摑めず、読んでいても戸惑う部分がありますが、その胸には、確固たる‘何か’を感じさせます。  宋を倒す(滅ぼす)とはどういうことか、楊令はその答えを持っているようです。それは戦い方や勝ち方にこだわりがちだった梁山泊の戦い方の限界を示し、その先にあるものを見据えようとする目。大きく、たくましく成長した反面、凄惨な心の闇を覗かせる楊令。果たして、彼が狙っているものとは何なのでしょうか。  一方、梁山泊を再建すれば宋に勝てる、とは考えていないもう1人の人間、呉用の動きにも注目です。彼もまた、楊令と異なる場所で、後悔と慚愧の想いの中で、必死に道を模索していきます。楊令との会合が中盤で用意されており、二人がそこで語り合ったことが今後の大きなカギとなってきます。  全体としてみれば、この巻では、楊令や呉用以外にも方蝋や岳飛といった、今後のキーパーソンとなる人物が続々と登場する巻になっています。また梁山泊においてもかつてのメンバーたちが続々と復活してきたり、揺れ動く心を吐露したりと、前作からのファンにとってもたまらない箇所が満載となっています。特に武松に大きな変化が起こりますえっ    楊令伝 四 雷霆の章 北方謙三 4087712125  いよいよ今月末に4巻が発売となります。  呉用が偽名で潜入した南方において、方蝋率いる宗教団体、方蝋軍がついに蜂起。かつてない大規模な反乱に対し、帝は、禁軍元帥・童貫を派遣する。童貫は豊美、岳飛らを従えて方蝋軍と向かいあうが、死を恐れない50万の大軍に手を焼く。  一方、北では宋金同盟により、遼を討つために趙安が派遣される。だが弱体化した遼の中でも精鋭の部隊が趙安を迎え撃つ。さらに、梁山泊軍が出撃し、趙安軍と激突する。楊令を棟梁として再結成された新生梁山泊、初の大規模の戦闘が発生する。さらに、己の起つべき大地を得ようとする聞煥章の暗躍、腐敗しきった宋の権力争いに趙安は翻弄される。 そんな中、九紋龍・史進はただひとり戦線を離脱して、子午山に向かう。育ての親ともいうべき王進の母の危篤の報。梁山泊の好漢たちにも、時の非情な流れが忍びよりつつあった。