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楊令伝 第四巻感想

 北にうごめく、思惑の螺旋 はためく替天旗 黒き獣の疾走に 躍動する志  南にひしめく、度人の風 肉を喰らい 原野に広がる 殺戮の叫び  そして母は 土へと帰る・・・  

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 ○北ー新梁山泊、初陣ー  禁軍を2つに割って、南北の敵に相対することが正式に決定。宋禁軍(超安軍)は北へ向かい、燕国軍との戦いに突入します。燕国との戦いで背後を獲られないために、宋禁軍が仕掛けた梁山泊軍への戦闘。新梁山泊軍の最初の大規模戦闘に、呼延灼、張清、史進ら第一世代メンバーが戦場へと向かいます。  思えば、一巻ではただの流浪軍、志はあれど戦略がなく逃げながら移動し続ける日々でした。それが、晴れて本当の梁山泊に戻れた、1つ山を越えたのかな、と言う気がしました。    また、旧メンバーだけではなく、三巻で子午山を降りた花飛麟が大活躍。四巻の後半では軍団長に任命されるなど、生まれ変わった彼の活躍を存分に楽しむことができます。宋禁軍戦での騎射一〇連射は身震いするすること間違いなしニコニコ花飛隣の他にも、張平・侯真・祖琪など若手メンバーも登場。史進に稽古を付けてもらうシーンは、激しいシーンのはずなのに微笑ましい一面になっています。そのほか黄表・穆凌・羅辰など新メンバーも登場。特に穆凌は、あの呼延灼の隠し子であることが判明(驚)地味ながらも結果を出せる天才ぶりを徐々に見せていきますよ。  とまあ、梁山泊軍は新しいスタートを踏み出したのですが、その一方で宋禁軍(超安軍)は燕国軍と激突。金との同盟によって燕雲一六州を手に入れることを約定したのは宋。その燕雲一六州は旧遼軍最強の部隊を持ち、さらに国としての独立を模索していました。  もっとも厄介な敵を金からあてがわれた形となった宋禁軍。愚作で国の力を確実に弱めていく宋に対し、国への見切りを付けてしまっている超安、そして己の野望を燕国に託す聞換章。思いを交錯させながら、戦闘は始まり、意外な形で決着が着くことになるのです・・・  その燕国には、新たな国への想いからか、清々しい雰囲気が漂っています。特に耶律大石は大物の雰囲気で、理想を夢見る純粋な漢。思惑はらむ雰囲気の中で鮮烈な輝きを放っています。  そして蕭珪材。護国の剣を持つ若き俊英。趙安をして読み切れない深みを湛える者。この先まだまだ伸びる素質を持っている模様。ちなみにこの珪材、遼国の武将にありながら、楊志同様、楊家の正当な血を引く者なんですよ(ノ゚ο゚)ノ楊家将・血涙を読んだ方はピンときたのではないでしょうか?    ○南ー殺戮の原野ー  方蝋軍に対して、ついに童貫が自ら大軍を率いて上陸してきます。梁山泊から回収した大砲、そして連環馬を用いて、信徒を殺し続けます。それは、梁山泊軍との戦いのような合戦ではなく、魅せられた一般市民を殺し抜く殺戮劇に他なりません。淡々と描写される北方文学のなかだからか、目を覆うような描写はされていませんが、童貫視点から見ることで、こんな惨劇を起こさなければならない無念さと虚しさが伝わってきます。  信徒の中に潜む方蝋軍を見つけ出し迎撃する童貫軍。それに対して、信徒の圧倒的人数を糧として童貫軍の疲弊を狙う方蝋軍。犠牲を全くいとわない物量作戦で童貫の首を狙う呉用は方蝋に惹かれながら、己の変化を感じていきます。梁山泊の戦略か、それとも己の欲求か、もがきながらも呉用は童貫の動きを読もうとします。童貫の首を取ることは、果たしてできるのか。  五巻までは方蝋伝であり呉用伝である、と私が思うこの展開(爆)実際南方戦線の描写は多く、まだ実態を見せきってはいない楊令よりも方蝋の怪しげな魅力は圧倒的な存在感を出してきます、この時点では(笑)また呉用の心情も迷いながら何かを掴んでいきます。彼に欠けていたもの、必要だったもの、それは少しずつ見えてくる様子は、呉用ファンにはたまらないシーンになるはず。  大きなニュースといえば、王母様がついにお亡くなりになることでしょうか。  多くの息子達を見守り、勇気づけてきた王母。人としてあるべきものを示し続けてきた母様と子午山は、まぎれもなく、この世の理想の空間だったのかも知れません。  最期に対面した史進、知らせを聞いて涙が止まらない張平、号泣する飽旭。また1つ大きな光が失われてしまいました、それでも、彼女が育てた息子達は(現時点で)誰一人欠けることなく生きて、醜さがあふれるこの世界で戦い続けています。それが希望なのかも知れませんね・・・  
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↑南北に禁軍が分裂、空洞化した中央部にて、梁山泊軍は遂に動き出す。楊令が考える国とは、梁山泊の道とは。  一方、北での激闘は意外な結末を迎えた。散った想い、去りゆく者たち。そして道を失った蕭珪材に対し、唐昇は新たな道を提示する。  南方では、童貫地方軍の中に殺戮を続けてきた軍兵士が毀れ始め、童貫の心境にも変化が生じる。  次第に追いつめられていく方蝋軍。方蝋は己の命を晒して決戦に挑む。方蝋の姿を見、声を聞くことで呉用の中でも何かが目覚める。全てを賭けて、壮大な罠を仕掛ける呉用。果たして童貫軍との決戦の行方は。そして決戦の果てに呉用は何を見るのか。