モーション・グリーン

紆余曲折を経てブログ開設10年越え!たぶんこれからも本の感想とか特撮(仮面ライダー)とか映画とかアニメとかドラマの感想書いていきます。

【2009年読破本99】楊令伝 第三十四回(小説すばる2009年8月号) 感想

 金の後継者争い、鮑旭の病、李姉弟の対立、そして王清の本音、さらには金の突然の背反(謀略の匂いアリ)と、各人物や情勢が活発に動き出した回。  そして何より、また一人好漢が逝った。  王定六(ノ・。)  悲しいけど、ちゃんと死なせてくれたことは嬉しかった。  合掌(ノ-。)  

 ◆それぞれの旅立ちへ 〈概要〉  どことなくしっかりしている王貴と、どこか落ち着きのない王清。  そんな王清を見かけた燕青は、梁山泊入りを強要しないことを告げ、王清の気持ちを引き出そうとする。  実は、王清は楽器を作る職人になるという夢があって、梁山泊と違う道を進みたいと思っていたことを告白。  思いをくみ取った燕青は、己の笛の音を聞かせ、これだと思える笛を作ったら吹かせてくれないか、と王清に告げるのだった・・・  〈感想〉  こういう、自由意志が感じられるシーン、大好きです。    結構、こうやって定められた(周囲が「当然こっちに進むだろう」と思っている)道を、悩みながらも外れていく展開は、本来の梁山泊のあり方を感じさせます。人生において能力・才能だけが選択肢ではない。ましてや親の道・親の意志だけが道しるべじゃない。  何より、梁山泊という人の志が集まった場所から、また新たな志が巣立っていくことはマイナスにはならない。それは人のあり方が、形を変え、場所を変えてもつながって、花を咲かせられるということ。  本来の人の道、各人の心の中にある嘆きや叫びを具現化できる場所、それが設立時の梁山泊だったのだから、王清の道は尊重されるべき道。燕青以外のメンバーにも〈特に王貴には〉尊重されて欲しいなあ。  ◆去る日  〈概要〉  李英は、広場で鮑旭と出会い、共に食事を取ることに。  食堂で鮑旭は、あと一年で退役することを告げる。薬師の馬雲から渡されたものを持っているところを見ると、どうやら病のようだ。  動揺する李英に、鮑旭は何でもないかのように、己の限界を語る。そして昔語りをし、李英の父・李応の話しをする。  梁山泊の話しをし、国とは、と話しを拡げていく鮑旭に対し、李英は呑み込みきれない思いを抱き続けた・・・  〈感想〉  そうか、病か( p_q)  どこか爽やかで、どこか冷静で、それでいて努力家だった、子午山出身者が、また一人去るのか・・・  ただ、今後は梁山泊の一人の民として、人とは、国とは、己とは、といろんな事を見つめ直していく姿を想像するのは、何か楽しくなってくる。  鮑旭のいる場所が、第二の子午山のようになるといいなあ。  ただ、まだ彼には生き続けてもらわなければならない。朱仝に董平、李忠と、双頭山の好漢語れるの、君しかいないのだから。  鮑旭の淡々さと比べ、どこか視点が狭まっている李英から危ない匂いが〈実際、この後危ないことに〉  ◆背反  〈概要〉  交易の商隊を率いている李媛は、道中梁山泊軍の護衛と合流。隊長は、弟の李英だった。姉弟の共同作業は、順調に進むかに見えた。  だが、梁山泊へ向かう途中。商隊は、なんと金軍の攻勢を受けることに。  突然の事態に動揺が走る。  荷を守ることを最優先するため、李媛は防御の構えを見せる。だが蹴散らせると判断した李英は攻めの体勢を作ってしまう。  対立する姉弟。李媛は強引に李英から指揮権を剥奪。守りを固める。さらに秦容を中心にして部隊が再編成され、李英は突出した形に。  李英も後退をする、かに見えたが突然李英は剣を抜いた。死ぬ気か、と李媛が思った時、そこには秦容が・・・  〈感想〉  これが、夢の終わりの序曲なのか。  金の突然の背反。交易の道が閉ざされる可能性が出てきただけではなく、金と梁山泊との闘争に発展しかねない情勢。  南宋岳飛・張俊だけでなく、金軍まで敵に廻すことは、四方全てが敵と言うこと。  前月まで続いていた理想の国が、崩れるような気が・・・    ただ、今回の金軍の動きについては  ・後継者争いの一環  ・南宋の謀略〈青蓮寺とか、秦檜とか〉 など、色々考えられるだけに、今後の情勢次第、だろうか。  それにしても、秦容はますます存在感を増していくなあ。救援部隊が到着するまで、秦容がいればまず持ちこたえられる気がしてきた〈笑〉  ◆走り続けた人生  そして、王定六。  商隊が襲撃されたことを、一刻でも速く知らせるために、走り続けた。  そのために、追撃してきた部隊から敢えて身を隠さずに走った。そのために、敢えて己の身を敵に晒した。  それでも走り続けた。  梁山泊まで。    そして、走りきった。ただ仲間のために、戦友のために。  そして走りきった先に、己の死が、待っていた・・・  久し振りに、好漢の死をきちんと描いてくれたことで、王定六が最期の最期まで輝いて死んだ。  父の顔を思い出そうとしても思い出せず、戦友の顔を思い浮かべ、楊令の顔を見て、最期に父の顔が浮かぶ流れは、まさに王定六の居場所そのものだったと思った。  悲しいけど、嬉しかった。  前作の水滸伝で、宋江が奇襲を受けたことを知らせるために、王定六が疾走したシーンを思い出した。  多分、今回の‘ラストラン’はその時の光景のオマージュなんだろうなあ。    うん  やっぱりすげえよ、王定六 o(TωT )  ※その他  ・久し振りの張横登場。たまにはこういった後方支援メンバーも顔を出して欲しいものです。  ・金の権力争いは落ち着かないなあ。その一方でようやく動き出した許貫忠がいたりいなかったり・・・  ・南宋の秘密と致死軍、西連寺の戦いもいよいよ大詰め。翻弄され続けの致死軍、そろそろ一発入れてくれい。  ↓の評価ボタンを押してランキングをチェック! 素晴らしい すごい とても良い 良い    楊令伝 九楊令伝 八楊令伝 七 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ TREview