モーション・グリーン

2018年、目標は読書300冊読破!のはずが、ここにきて400冊に変更?!進捗は当ブログで随時更新中。他には特撮(仮面ライダー)・ドラマ・アニメの感想などなど。

楊令伝 雑記その1 北方謙三×児玉清対談

 楊令伝三十四回が連載されている<a href="http://www.amazon.co.jp 楊令伝三十四回が連載されている小説すばる 2009年 08月号 [雑誌]。  楊令伝 十 坡陀の章発売を記念して ・これまでの楊令伝おさらい&年表(時期感覚が掴みにくいので年表は助かるニコニコ) ・これまで登場したオリジナル登場人物の辞典(概要) ・ブックカバープレゼント告知 ・楊令伝三十四回(感想はこちら) と、かなりのコンテンツ内蔵されているのですが、さらにもうひとつ ◆北方謙三×児玉清の対談 が掲載されていたので、こちらの中から気になるポイントを見ていきたいと思います。  

 なんでそんなにこの対談が気になるかというと、北方謙三梁山泊の会鹿児島以降、楊令伝の内容について公式にコメントするのって久し振り(のはず)なので、どんな発言をされるのか、非常に興味津々だったのです。    しかも、対談相手は「北方水滸伝は墓の下まで持って行きます」と言ってやまない児玉清さんですし。  で、読んでみたのですが、小説の書き方や、北方謙三自身の革命感など、初見の方ならともかく、北方水滸伝から読み続けている人にとっては、新鮮感は薄かったなあ、と  もちろん初見の方、再確認したい方にとっては貴重な光景でしょうけど。  ただ、楊令伝で描こうとしている国家とは、とか楊令伝の今後の展開など、目を奪われる箇所もありました。その中から一点ご紹介。  ◆楊令伝の今後  「楊令は夢を追う強固な意志を持っている。ただそれが、普通の人間に説得力を持つかどうか。」(北方謙三)  やはりそうか。  楊令伝を読んでいて、どこかピンとこなかった部分を、ちゃんと北方謙三は意識していたのだなあ。と感服。    最終的には合議制で決める形にしよう、とか、全土を制圧せず、宋を武力で滅ぼさない、など梁山泊の誰もが想像していた、宋を打ち倒して梁山泊の国を創るという理想図を覆した楊令。  その強い意志に導かれ、戸惑いながらも、楊令が打ち出した新たな国実現のために動き出している梁山泊。  でも、それは、おそらく形にしなければ理解されない夢。  結果でしか果たせない夢。  示した理想郷が、「替天行道」実現につながる、と皆が理解・実感しない限り、楊令は、他者への理解と戦い続けなければならない。  実際、梁山泊のメンバーの中でも、国のあり方で意見が分かれる者も・・・  そして、金の裏切りなど、徐々に梁山泊は包囲されてきています。楊令の国家間は、やはり理解・共存とはいかないのか・・・  「物事を建設していく形になったときに、強さは強さとして生きるということにはならないわけですから」(北方謙三)  今の楊令のスタイルの限界を暗示するかのような北方謙三の発言。    《強靱な意志とカリスマで引っ張っていく時期は、もう過ぎているのではないか》  それを象徴するかのような存在が秦容の存在、だと秦容が子午山から下山して感じています。  他者に合わせられる柔軟性  他者と共に歩める順応性  正にそれは、楊令に欠けていた要素であり、楊令自身が唱った国家の形に求められる人材。  トップダウンの楊令と、ボトムアップ(とまではいかないまでも底上げによる全体の向上)の秦容。  楊令がもう一度己を見つめ直すきっかけは秦容にあるような気がしてなりません。  そして  コミュニケーション→相互理解という、現代の我々にとっても永遠の課題。  単なる小説の中として捉えるのではなく、目の前に広がる己の世界において、自分のあり方を問う機会にしなければ、と改めて感じます。  ◆その他  ・「僕は、すべての表現は自己表現だと思うんです」これは漫画がはじまるにおいて、井上雄彦氏も同様の内容を語っていたので印象に残りました。つまり全ての登場人物には己の一部が(拡大・凝縮・願望など変化しながらも)宿っているのだと。  ・「小説からまず考えるべきことは、自分とは何であるかですね」これは、もう北方文学を読んでいたらひしひしと感じること。それがエゴと批判されようと、暑苦しいと思われようとも、己について考え続けること。これは、僕自身も続けていきたいです。  とまあ、こんな感じです。  概要は、これまで北方謙三が繰り返し語ってきたことなのだけれども、その中にキラーン☆と輝く一文や言葉を見つけることができた、かな?  また、気になるフレーズあればご紹介しますね。