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【2009年読破本202】楊令伝 第三十八回(小説すばる2009年12月号)

小説すばる 2009年 12月号 [雑誌]
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 一つの時代の終わり。  何かそれを象徴するかのような戦いだった、岳飛VS簫珪材  勝者であった岳飛が、(謀略だったとはいえ)民の反乱にあう無情な決着すら、何か大きな時代の終わりを感じさせてしまう、そんな一つの戦い・・・ ◆何がための戦い  自分の領地(?)を守るための戦いのはずだった岳飛  己の誇りのための戦いのはずだった簫珪材  両者を取り巻く環境はあるものの、本当は戦う必要があったのか?それすら問わずにはいられない、悲しき決戦。  紙一重の敗北だった簫珪材は、武人としての生涯を閉じることができ、勝者として生き残った岳飛には、「民のための」アイデンティティを喪失しかねない悲しい現実。少なくても岳飛は生き残った以上、単なる武人としては生き残れないし、生き残ることを許されない。生き方を変えねばならないという遙かな分岐点への1歩。これが岳飛にとってどういう位置づけとして残っていくのだろう? ◆国に必要なもの  宣賛の旅  誰のための梁山泊なのか、梁山泊はどうあるべきか  天下という野望から抜け出せない宣賛が、民の声を聞いて少しずつ悟ってきたこと。  それは、豊かさと言うこと。  宋を倒すことで、人が人らしく生きられなかった理不尽な世の中は是正されつつあるのかもしれない。しかし、たとえば法が変わったら世界はよくなるのか?そもそも民が願った宋打倒後の世界とはどういう形だったのか?  そうではなく、税が少なくなったり、手元のお金が増えたり、多少の贅沢ができたり、子や親がお金がないことで死亡しなくなったり・・・  つまるところ、貧しかった→豊かになることで、人は時代の変化を実感するのではないか、と。  その事実は、天下を取るに比することではないか?と思えた宣賛はようやく自分の中で目標が見えてきたみたい道  奇しくも、豊かさというキーワードは、武力のために民から豊かさを奪ってしまい、反乱の着きっかけをつくった岳飛の凋落(?)と対比で結びついている。民のため、と言うのは容易いが、果たして自分は民のためのことをできているのか?岳飛の苦悩は続きそうだなあ。 

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