モーション・グリーン

読破本・特撮(仮面ライダー)・アニメを取り上げるブログです。

【2010年読破本11】楊令伝 第四十回(小説すばる2010年2月号) 感想

「見ておけ、これが、梁山泊の漢の、死にざまだ」  楊令伝も、連載は残すところあと6回(予定)  いよいよ佳境という感じです。  その中で・・・李英・・・無駄死にというところが、最後の最後までどこか足りない漢を象徴しているような(涙)  

 ◆決戦の予感  楊令伝が始まってから、大きな戦いにならなかった水軍に、どうやら大海戦(河戦?)の予感が。  自由市場を拡げようとする梁山泊と、拡げられれば死活問題につながる南宋。  両者を分ける場所は、どうやら長江になりそう。そして、かつては梁山泊の物資集積所だった洞庭山は、南宋側に位置するだけに南宋水軍にとっては邪魔な存在。となれば、戦いは起こりそう。  ここのところ、重要そうな場面で出てくる李俊。元々志よりも仲間との絆を優先させてきた現実主義者が、どこまで梁山泊や仲間達との戦いを続けていくのか、あたりの選択もそろそろポイントとなりそうだし、船に付ける小型の大砲とやらの性能も楽しみ(そもそも呂皖視点はいつ出てくる?)  ◆故郷という存在  ようやく、己の施策を理解し始める存在が現れてきた楊令。その反面、前回の李英に続いて今回の耶律越里と、少しずつ梁山泊を去る者が出始めてきて・・・(上記の二人は結果としては南宋の策略なのだけれど)  ここ数回は、だれひとり行き先を示すものがない中で、賢明に国の道筋を模索する楊令の内なる苦悩が描かれていましたが、今回、梁山泊は、領地や人の大小で問うものではなく、その想いの深さでつながっていけばいいのでは、という可能性を示唆したような気がする。  この楊令と花飛麟のやりとりを読んでいて、国を変え、国を創り、国を栄えさせても、その中心にいる者たちに達成感は生まれていないことが明らかになった(むしろ戸惑いが多い)。理想郷を作る余り、周囲を敵に廻す日々が続く。  楊令の国づくりが、梁山泊の施策を軸にして、周囲の国々が梁山泊(理想郷)になろうとすることで、全ての国々が梁山泊になるということなら、なぜ敵は減るどころか増え続け、自分から去る者・消えていく者が現れるのか。そしてなぜ楊令は孤独であり続けるのか・・・  楊令伝の最後が、子午山に楊令が返るシーンで終わるのでは、と思っていたのですが、わずかな地で梁山泊のメンバーがひっそりと小さな理想郷を作るシーンで終わるのもいいかも、と思えてきました。  おそらく軍メンバーは総崩壊するでしょうけど・・・  ◆李英、散る  そして、李英(再び涙)  策略によって斉へ行かざるをえなくなった李英。表向きは恭順を示し続けるも、‘その瞬間’のために飛刀を練習し続けていた。その執念に感心しつつも、なぜその気持ちを、己への修練に向けなかった、と楊令なら言うのだろうか・・・  最初は確か、呼延灼の副官から始まったんだった、かな。と思いだし、やがて呼延凌・花飛麟ら若手のホープに押され、どこか劣等感と屈折したものを抱えていたんだよなあ。  秦容が加入したことで、さらに後ろへ追いやられたことが不遇ならば、最後の大勝負で飛刀で仕留められなかったあたりが、どこか欠けていた李英らしい、といえば、らしかったのか。  ーそうだ、志に生きたのだ。不器用で、失敗ばかりした。小心で、周囲の眼をいつも気にしていた。それでも、志に生きた。それを見失ったことは、一度もないー  楊令達が、待っていたことを知ったら、それでも李英は同じ事をしたのだろうか。  多分、同じ事をしたのだろうな。

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