モーション・グリーン

2018年、目標は読書300冊読破!のはずが、ここにきて400冊に変更?!進捗は当ブログで随時更新中。他には特撮(仮面ライダー)・ドラマ・アニメの感想などなど。

【2013年読破本47】岳飛伝 第十七回(小説すばる 2013年 04月号 [雑誌])

その日、岳飛は消え、名も無き“岳飛”が残った

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岳飛、死す 岳飛

この名前が、ようやく私たち読者に迫ってきた。

当初から予想されていたとおり(そして北方御大自身が言っていたとおり)、史実上ここで死んだ岳飛は活かされ、個人としての岳飛が残って、新たな物語を紡ぎ出す。

史実上では(というか後世の色眼鏡を含めて)、快進撃を続けていた岳飛は、金と結びついていた秦檜によって強制送還され、謀反の罪を着せられて処刑。漢民族から悲劇の英雄と称され、秦檜は売国奴として今なお蔑まれている。そんな二人ではあるが、果たしてこの物語ではどういう出会いと別れをしていくのか。岳飛伝最大?の攻防が今回のポイントであっただろう。

結論から言えば、秦檜と岳飛の最後の争いは、思った以上に感情の叫びが響き渡って熱かった。

岳飛を認めていながら、南宋に(自分に)なびかない岳飛をどこか扱いかねている秦檜。そして政治の力で屈服させず、自分の理想を熱く語り、(おそらく)自分の素をさらけ出して岳飛を揺り動かそうとしている。これまで冷酷で現実的な官僚のイメージだった秦檜が、ちょっと好きになった。

国のあり方とか、政治の話しとか、そういうところではなく、あくまで一人の人間として接する。政治家としても、リーダーとしても李富に及ばない、だからこその叫び。この会話だけ見れば秦檜の方がはるかに人間性豊かだなあ、ここまで国を堕落させてきた宋の果てが産んだ政治家、不気味な大きさではない魅力、というところだろうか。

そういう意味では岳飛の方が変に頑なで、変に動かず、それでいてもやっとしていた。おそらく岳飛自身、秦檜という人物に悪意はないんだろうけど、南宋に対する不信感と自分の道が定まっていないことが、そんな態度を取らせるんだろうけど、ある意味子供(笑)、この二人の会話が(思ったほど)盛り上がらなかったのは、北方水滸伝から続く大きな流れの中では、計り知れない大きさを抱えていないが故。時代は変わってきているんだなあ(三國志でも孔明死後が盛り上がらないのは、安定と組織力がウエイトを占めてしまったから。つまり状況を打破できる“英雄”がいなくなったから)

岳飛、生還 岳飛と秦檜、二人の界隈や価値観はここで別たれたわけだが、岳飛救出と妨害の動きは、建国の修羅場をくぐり抜けてきた黒帯軍団の大きな駆け引きが繰り広げられていた。

まず梁山泊呉用の遺言でどう動くのかと思いきや、まさかあの“禁断”を使うとは・・・

まあ、考えてみればもうスキャンダルとして使うには時機を逸している。また、漢民族の不満を糾合するのであれば、楊令の時期にこそやるべきだったこと。あのとき果たせなかった岳飛へのオルグ、意味はある。

また、この秘密を知るもう一つの組織、青蓮寺にとってもこの動きは重要だったらしい。どうやら秦檜にとっては青蓮寺は邪魔な存在になるらしく、新旧の攻防も激しくなりそうだ。燕青と“あの方”との再会、青蓮寺の暗躍・・・‘岳飛’無き南宋も、暗闘が繰り広げられることになるのか、かなり勢力図が複雑になりそうだなあ。

岳家軍や家族の行方も気になるが、岳飛はどうするのだろう。ベタな流れとしては梁山泊合流だけど、そんなにすぐに来るのもなあ(笑)付き従う姚平がいいアクセントになっているが、果たして・・・

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