2012年大河ドラマ「平清盛」
お膝元の兵庫県知事から色々言われたり
複雑な人間模様がわかりにくかったり
みんな似たような名前だったり(苦笑)
などなど、様々な要因が重なり、平均視聴率は(その時点でも)過去最低を記録した。
個人的には結構奥深く、見応えのある作品だったと思うが、ここではその是非には触れない。
ただ、この「平清盛」時代考証・本郷さんにとっては、思うところが多かっただろう、ということは間違いないと思う。
時代考証のベテラン・小和田哲男先生ですら、「褒められたことはほとんどない」とまで言わしめた、時代考証というポジションの厳しさ。
その中で、本郷さんは、「平清盛」という作品に、そして、平清盛という人物に何を見たのか。
本書を読んで、その一端は掴めた気がする。
とはいえ、本郷さんの著書は、本当に歴史学者か、と思うほど砕けた文調だ(苦笑)
以前も本郷さんの書かれた文章読んだときも、同じ感想だったな(笑)
そんな本郷さんにとって、改めて平清盛の実態に迫った本書は、大河ドラマの副読本的要素が強いが、上記のような砕けた文調のおかげで(爆)難しいという印象は薄れている。
日本史有段者でも分かりづらい平安末期。
だが、本書を通じて、前提知識や基本情報をおさえることはできる。
ヘタな参考書よりよほど頭に入ってくるので、この時代を知るのにうってつけ。
また、大河ドラマのあり方や、学問と歴史ドラマ(つまり、史実とフィクション要素)の関係性に関する知見など、関係者ならではのエピソードも紹介されている。
改めて“僕らが見たことがない時代”を描いている、ということの難しさを感じる。
1000年近く前の時代の論理感を(ある程度)ありのままを重視しつつ、今の日本に活かしていけるところを引き抜いていく。
それは、歴史再現ドラマではなく、大河ドラマだからこそ、偏見なく見なければ行けないことを表現する、という制作陣の熱い想いだったのかもしれない。
「平清盛」という人物の生き様を通じて、本郷さんや制作陣が伝えたかったことを飲み込みつつ、改めて混迷の時代に目を向けていく。
そんなきっかけになる1冊だ。