モーション・グリーン

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【2015年読破本33】岳飛伝 第四十回(小説すばる 2015年 03月号 [雑誌])

胡土児、己の出生を知る。

小説すばる 2015年 03 月号 [雑誌]
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◆二人の行方

 色々動いた回だった。特に去就が(というか、落ち着き先が)気になっていた二人が、ようやく己の場所へ身を置いた、というところだろうか。

 物語の中での重要度は(申し訳ないが)全く異なるものの、生き様として、生き方として、ここまの読み続けてよかった、と思える暖かさを感じる展開だったのは間違いない。

 

 まずは王清。

 色々彷徨った果ては、どうやら日本ということになりそうだ。この男は梁山泊とゆかりのある出生にも関わらず、梁山泊と離れた生き方をしていった、はずなのだが、梁山泊と金・南宋の攻防に巻き込まれ続け、大切なものを失い、側にいる者を“大切”と思えず、逃げて、留まり、また逃げて・・・

 こういう生き方を、多数の登場人物がひしめきあうこの作品の中で描き続け、ちゃんと落ち着かせた御大の愛情に、ただただ感服するのみ。といっても、このままでは彼が結局梁山泊の仕事をすることになりました、ということでしかない(結果だけみれば)彼にさらなる展開が待ち構えているのかどうかはわからないが、色々なものを背負っている身、きっといい落ち着き先があるに違いない。

 派手さも勇ましさもなく、敢えて言えばここまでの過程こそ、彼の生き様だったのだろうなあ。

 

 

 そして、胡土児。

 史進から吸毛剣を託され、出生を知り、そしてウジュは“息子”を敢えて北へ動かす。きれいと言えばきれいすぎる展開だが、そこにも、思いが詰まっている。

 楊令の遺児、そして金軍総帥の息子。彼がどのような生き方をしようと、これだけの重みを背負っているのだ。吸毛剣で梁山泊の人間を斬ってはいけない、それを甘いということは簡単だが、その甘さを残した漢たちが、闘ってきた時代、その最期を飾る闘いが、始まることを予感させる。

 

 と、きれいにしてみたが、ウジュの去就次第では、胡土児が蒙古率いて南下してこないだろうか。そんな怖さも秘めている気がする(爆)

 

◆その他

南宋と金の三度目(もっと?)の密約。つくづく国の関係は難しくややこしい。いよいよ北の梁山泊VS金、秦容・岳飛VS南宋の全面戦争が始まる。

・そんな中での岳飛と秦容との人事交流は地味におもしろい。思えば、かつては敵同士だった間柄。場所が・人が変わることで何かが変わっていくのは、この物語の魅力的な所の一つ。いつか岳飛軍と梁山泊が(どちらかが崩れたとき)一体となって何かを成す場面があると、また感慨深くなるだろうなあ。

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