見たくもないのに未来が見えてしまう
しかも断片的でよくわからず、見なくてもそれほど困らない程度の光景。
そんな自分の能力の扱いに困っている主人公が遭遇する事件や出会いを描いた小説。
どちらかというとミステリより日常ドラマ。
装丁見て本格ミステリ期待すると肩すかしくうのでご注意を(笑)
まあ、こんな能力と日々付き合うのは精神的にも困るだろうなあ、というところを共感できないと、全く物語に入っていけないところがネック。
そこから諸々にネガティブになっていった主人公、という立ち位置が見えてくると、一気におもしろくなっていく(地味だけど)
物語は主人公が同級生の女性が襲われる場面を見てしまい、彼女を救おうとするところから、次第に自分と未来に向き合っていく展開へ。
その過程が、地味だけどじわりと染みてくる。
人との関わりが薄かったのに、次第に友人(彼女?)が増えてくるのも、なんとなくおもしろい。
ピリピリするような所は少ないけれど、ほんわか胸が温かくなる1冊だ。