モーション・グリーン

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【読書感想】決戦!関ヶ原2

決戦!シリーズ、まだまだ続いてます。

そして舞台は再び関ヶ原!! 

決戦!関ヶ原2

決戦!関ヶ原2

  • 作者: 葉室麟,東郷隆,宮本昌孝,冲方丁,天野純希,吉川永青,簑輪諒
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 映画に合わせた、っていう大人の事情があるにせよ(笑)日本の歴史を変えた戦い、まだまだ掘り下げられるスケールがあることを改めて感じた、決戦!関ヶ原第2弾。

 

 今回最大の魅力は、新進気鋭の作家が名を連ねていること。

 天野・吉川・箕輪といった、今歴史小説界を賑わせている若き才能の持ち主達。まだ彼らの作品を読んだことのない方々は、是非この本で読んで知って欲しい。色々な作家の作品が読めるのが短編集の魅力、その強みを存分に活かした構成と言える。

 

 実際、読んでみるとやはり勢いがある。それでいて文章が老成化してる(爆)本当にこの先が楽しみです。

 ただ、惜しむらくは書き下ろしが箕輪さんしか無いこと(だから云々言うことはないのだけど)

 

◆ダミアン長政 葉室麟

 どうも葉室さんの著作はどこかひっかかる。そろそろ新しい書き方や描きたい方向性が見たいところ。

 とはいえ、長政の遠謀が光る設定は、「猪武者」と関ヶ原前後で見せた「謀将」の二面性への疑問をきれいに読みほどいてくれた。今までの葉室さんの作品ではあまり感じなかったフォーカスが、この作品の魅力かも。

 ・・・どうしても如水=超謀将という作りがテンプレに見えてしまう・・・

 

◆過ぎたるもの 吉川永青

 関ヶ原と言えば、やはり島左近だろう。吉川さんがその熱き生涯をストレートに描いている。欲を言えば、「劇史三国志」などで見せた遠謀劇を島左近で見たかったなあ。

 

◆戦さ神 東郷隆

 仙石勝久と、可児才蔵のお話し。可児はともかく、仙石勝久は比較的マニアックな武将だが、東郷ファンであればおなじみかな(笑)

 関ヶ原の戦いという、後の世から見たら最大規模の戦いであっても、歴戦の武将からするとどう見えていたのか。そんな疑問に応えてくれた一作

 

◆名だけを残して 箕輪諒

 箕輪さんらしい、マニアックなチョイスが光る作品。上でも触れたがこの短編集唯一の書き下ろし。わがままとは知りつつ、やはりこの手の短編集は書き下ろしが読みたいものだ。

 結末を知っているからか、この作品で語りたかった教訓(?)が骨身に染みるにはちょっと文量が少なかったか。「終わりよければ~」なんて言うけど、染みついた性根は変わりやしないんだよ、という皮肉と現実を突きつける一作。脇坂と大谷ファンには少し辛い結末かも。

 

◆蜻蛉切 宮本昌孝

 関ヶ原と言うより、本多忠勝の生涯を綴った一作。関ヶ原云々が少ないので、この短編集に入れるにはインパクトが薄いのだが、忠勝の神がかりな強さの源泉を紐解いた意欲作であることは間違いない。

 超コアな徳川ファンに人気の高い(?)植村一族がいい味を出している。家康の祖父・父と二代にわたる暗殺者をいずれもしとめたその忠臣ぶりは、文章ににじみ出ている。

 

◆秀秋の戯 天野純希

 この人を理解しようとする動きが起きている。それが、まずすばらしいことだと思う。

 日本の歴史は近年重い荷物を取り去り、素直な見解と分析を通すようになり、研究がドンドン進んでいる。関ヶ原の戦いすら例外では無く、兵力や狙い、経緯、経過など様々なことにメスが入っている。

 特におもしろいのは、松尾山の役割。小早川秀秋がただ逃げ昇ったと言われていたこの山は戦略上非常に重要な場所として、三成は利用しようとしていたことが明らかになってきた。となると、この山に登った秀秋は本当に暗君だったのか?

 北方謙三のようなハードボイルドテイストで数多くの斬新で熱い作品を発表している天野さんが、この若き武将をいかに描いているのか。必読です。

 

◆燃ゆる病葉 沖方丁

 時代背景や人物相関では、どうにも掴めないことがある。本能寺の変も、坂本龍馬暗殺も、状況だけではきれいな回答が得られないのだ。

 そんなとき、小説ならどうするか。そう、人を描くのだ。

 その才能を嘱望されながら、それを活かしきれずに終わった武将・大谷吉継。病で覆い隠された彼の体は、目は、その才知は何を求めていたのか。

 この手のはかない才覚人を、いや、何より人間をただ忠実に、冷静に、そして緻密に見ていく沖方文学が、吉継をどう描くのか。読んだ後、不思議な気持ちにさせられる一作です。

 

 

 

決戦!関ヶ原2

決戦!関ヶ原2

  • 作者: 葉室麟,東郷隆,宮本昌孝,冲方丁,天野純希,吉川永青,簑輪諒
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