歴史から学べ。
この本から、我々はそのやり方ではなく、その根底にある志や姿勢、信念を学び、全身に染み渡らせなければならない。
本著は歴史小説であると同時に、ビジネス書としても高い評価を得ている1冊だ。
当ブログでも何度も取り上げている伊東さんだが、今作はテーマ(登場人物の社会性)と御自身の書き方とのマッチングが抜群。
書き方謝ると「政商」というよくないイメージにつながる、主人公・河村瑞賢。
彼の業績を、志と息子のエピソードとを絶妙なバランスで組み合わせ、取り入れたことで、目先の利益に走らない稀代の事業者へ昇華させた。
(読んだ本が前後しているが)伊東さんの作品の中でも傑出した完成度の高さ。評判が高いのも頷ける。
もはや江戸どころか、江戸時代の土台を造った瑞賢のような社会性・清廉性を帯びた人物がいたことが、本当にこの時代の奇跡だったんだろう。
「あんたの仕事に対する姿勢は、この国で仕事をする者たちすべてが見本にすべきだ」
我々は今一度、本質に立ち戻り、自分の行ったことがたくさんの人々の笑顔を作れる生き方をしてきたかどうか、問わなくてはいけないのかもしれない。
何度も読み返したい、すばらしい1冊だ。