モーション・グリーン

2018年、目標は読書300冊読破!進捗は当ブログで随時更新中。他には特撮(仮面ライダー)・ドラマ・アニメの感想などなど。

【血と涙の果てにある希望】読書感想:大友二階崩れ

この物語は、暗い。

この物語は、救いがない。

この物語は、絶望が漂う。

 

でも、最後まで読めば、見えるはずだ。

蛍火のような、細くて微かな、希望の道が。

信じ続け、守り続けてきた、信念の道が。

 

だから、くじけず、最後まで読んで欲しい。

その瞬間に感じた、その震えを、きっと貴方は忘れない。

 

 

大友二階崩れ

 

 

近年の歴史小説の中でも、特筆すべき救いのない作品だ(涙)

著者はこれがデビュー作のことだが、構成や表現が一昔前のタッチに感じられるため、最初は有名作家の変名かと思ってしまった(苦笑)

 

まず題材がシュールだ。

戦国時代初期の大友家に起きた御家騒動「二階崩れ」

戦国時代ファンでも知っている人は少ないのではないか?

知っている人でも、大友義鎮が父を殺害して当主になった、ということくらいであろう。

 

もし、大友義鎮が、後に大友家を九州随一の大大名に飛躍させなければ

キリシタン大名として、「大友宗麟」として後世に名を残さなければ

注目されなかった事例であろう。

 

しかも、

この作品の主人公は、“その”大友義鎮ではなく、重臣・吉弘家というのだから、ますますシュールであり、馴染みも薄くなる。

 

さらにさらに、

実質主人公の吉弘鑑理、義鎮側では無い。

 

彼は元々、義鎮の父・義鑑(つまり殺害される側)の忠臣であり、しかも当初は義鎮を廃嫡する側にまわっていたのだ。

彼はそのために無二の友を誅殺する役割さえ担っている。

 

当然のことながら義鎮が政権を担った後、吉弘家の状況は悪化していく。

 

この物語の中で、権力と仕える主君(御家)は二転三転していく。

その中で、上手く立ち回れない鑑理の不器用さとその誠実さが、度々吉弘家を取りつぶしに追い込んでいく。

 

イライラの募る(笑)展開が続くのだ。

 

ただでさえ有名武将がほとんど出ない、馴染みの薄い時代。

そこに、もどかしい展開がいつまでも続くのだから、もう(涙)となげきたくもなる。

 

途中、鑑理の弟・鑑広のおちょこちょいぶりと奥さんとの馴れ初めという、緩和剤(笑)が救いとなっていくものの、やはり悲劇はつきまとう。

 

まさに暗夜行路。

 

義なんて、

義なんて、

義なんて・・・・

 

吉弘家の、いや、読者の思いが、最後まで募り募っていくことだろう。

 

 

だが

 

どん底まで追い詰められた鑑理に、小さな道が開かれる。

細く、小さく、

でも、連綿とつながってきた、長く折れない道が。

 

冒頭でも触れたが

本書は結構読むのが辛い。

 

よくぞここまで、と思うほど、いやーな展開が続く。

 

でも、それでも、最後まで読んで欲しい。

鑑理がボロボロになっても、貫き続けた想いが、報われるその瞬間を見届けるために。

 

そして、吉弘家がその命をとして守り続けてきたその生き様が、

目に見えない力となって、家を守り続けてきたことを。

そしてそして、ちゃんと、それを見てきた人々がいたことを。

 

主君・大友家はこのあと、九州三強筆頭に数えられる大大名に成長するが、

やがて没落し、地上から姿を消す。

 

対して、吉弘家は、この後も主君のために戦い続け、多くの犠牲を出していくが、

その生き様はきちんと受け継がれていく。

 

特に鑑理の次男・鎮理は、

没落していく大友家の中で、島津家の大軍に囲まれても降伏せず、玉砕することでその生き様を示した。

 

後の高橋鎮種(紹運)と言えば、思い出す方もいるだろうか?

 

そして、鎮理(高橋鎮種(紹運))の息子は、

父と養父の思いを背負い、“西国無双”の名の下に、戦国時代を、江戸時代を生き抜いていく。

 

もう、戦国時代ファンならおわかりだろう。

 

立花宗茂

 

この物語上ではまだ見ぬ名将は、この血と涙の果てに生まれたことを知り、私はこの物語を受け入れられた。

 

 

もし、この本に興味を持っていただけたなら、手にとって欲しい。

そして、最後まで読み切って欲しい。

 

震えが、熱い想いが待っているはずだ。

 

予測できてしまう展開が、作られたドラマより酷い悲劇が待ち構えている。

が、それすら報われる(と思わせる)ラストが待っている。

 

 

そして、きっと、続編があるはずだ。

この報われない時代が、続編でムダじゃ無かった、と思わせて欲しい。

 

 

大友二階崩れ

大友二階崩れ

 
大友二階崩れ

大友二階崩れ

 

 

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