モーション・グリーン

2018年、目標は読書300冊読破!進捗は当ブログで随時更新中。他には特撮(仮面ライダー)・ドラマ・アニメの感想などなど。

【終わりなき願いの先へ】読書感想:敗れども負けず

敗れども負けず

 

 

短編集。これぞ、って感じ。

 

時代バラバラで、背景も、題材もどこか違うものばかり。

でも、根底にある意地とか、信念とか、誇りとか。目に見えない不屈の思いが根底にあるのが、読んでいて伝わる。

 

まず時代や地域のチョイスが渋い。

そして比較的地味で、結構シビアな実態ばかり突きつける作品ばかり。

それでいて、登場人物や地域、事項などに(創作要素だとしても)憎めないエッセンスを一つ以上添えられているので、どことなく憎めない(苦笑)

 

■管領の馬

負け戦って、言葉にすると単語で終わってしまうけど、実態は地獄に違いない。

負け戦のシーン見たり読んだりすると思う。絶対に負けたくない、と。

 

そんな思いを味わった男・関東管領上杉憲政

彼の転落と、微かな再生の日々を綴った一作。

 

憲政の栄光の象徴である彼の愛馬が、随所で登場する。

最初は似合っていたのに、途中からどこかそぐわない雰囲気を醸し出し、最後はその姿を消していく。

でも、そこから人間・憲政が現れてくる。

 

彼と彼の家臣にとっては不幸な存在であっただろう。

でも、その“暗君”は、少なくても人間としては、万人に愛される存在ではあったのかもしれない・・・

 

■越後の女傑

舞台はいっぺんに遡り、鎌倉時代へ。

 

承久の乱の少し前に起きた、とある反乱。

反乱軍のなかに、巴御前の再来とも言われる女傑がいた。

 

板額御前

 

彼女を取り巻く反乱軍の人間関係、合戦の結末、そして彼女に訪れる数奇な運命。

 

序盤のデコボコ人間関係にホッコリする一幕がありつつ(笑)彼女にとっての幸せとは何だったのか、を暗に問う一作。

 

時代が時代であれば、より武人として生き抜けたかもしれないなあ。

もっと早ければ、いや、もっと先の時代に生まれていれば・・・

 

有力家臣がいない武将がこれを知ったら、そう思うだろうなあ(苦笑)

 

 

■沖田畷

この作品はとにかく、龍造寺隆信の料理好きに尽きる。

 

熊のような大男で、気性が荒く、家臣手討ちで家臣団にも無用の疑心を生んでしまう。

おまけに短気で思い込みが激しく、どこか心が狭い。

 

なのに

 

料理好き(爆)

反則としか言いようがない。

 

おかげで、(本来の主人公)鍋島信生が薄味のキャラに見えてしまい、全く感情移入できない(涙)

 

■春王と安王

この短編集の根底テーマを体現している一作。

 

どこか反乱の首謀者に見えない、優しい兄弟と、そんな兄弟に惹かれた盲目の夫婦。

芸を通じて結びつく2組の数奇な運命。

そしてその残酷な結末の先にある、受け継がれたもの。

 

時代が変わるかもしれない、その少し前に起きた悲劇。

じっくり読みたい作品だ。

 

■もう一人の源氏

高野山及び周辺が舞台になっており、行ったことがある身としてはニヤニヤしっぱなしの一作(笑)

 

ただ内容はかなりシビア。

 

鎌倉将軍三代実朝が暗殺。

これで将軍がいなくなったなか、次期将軍として名が挙がったのは、頼朝が正室・政子以外に生ませた子だった。

存在をも許せない政子は、“息子”を訪ねて高野山へ。

 

僧となっていた“息子”には、還俗の可能性が残っていた。

俗世への野心があれば殺す。

野心が無くても、その存在が世を乱すのであれば・・・

 

悲壮な決意の元に“息子”と対峙する政子。

彼女の目に留まった“息子”は、彼女が身を賭けてまで尽くした夫・頼朝の面影を残していた・・・

 

将軍としての器量か

幕府の安泰か

それとも、女としての意地か。

 

そして“息子”が下した、とんでもない行為。

 

情念の女・政子の人生の結末としても、読み応え抜群の内容だ。

 

敗れども負けず

敗れども負けず

 

 

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

 


読書感想ランキング