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ブログ開設13年目!今年も「紡ぐ」発信を目指す読書・アニメ・特撮感想ブログ。400冊読破を目指して今日も読んでます。

〈紡がれた“幻の”名将〉読書感想:『某には策があり申す 島左近の野望』

某には策があり申す 島左近の野望

 

近年の、読者における歴史小説の位置は大きく変化した。

 

これまでの要素を大枠で項目化すると

「歴史を知る」+「物語を楽しむ」+「人生に活かす」

というところだった。

 

歴史小説はある種のフィクションでありながら史実も学べる、と思われており、今なお司馬遼太郎や池波正太郎が愛されるのは、読者の人生に活かされたからだ。

 

ところが「歴史を知る」については、研究者の露出や、研究結果の伝達スピード向上などで、読者が知る機会が増えたことにより、需要が低下。

(しかも、「歴史を知る」要素が読者の中において、意外と大きかった)

「人生に活かす」は他のジャンルが代用したことや、社会の変化などがあり、こちらの需要も低下。

 

これにより、歴史小説は史実縛りを求められ、その中での物語になりがちな状況だ。

 

だが、最新の研究をもってしても、未だに謎が多いことは、歴史にはつきものだ。

 

そこに関しては、フィクション(著者の想像力)が断片的な史実をつないでくれる。

歴史小説は、史実100%である必要は無い。

小説でありフィクションなのだから、「なぞる」のではなく「紡ぐ」ものであってほしい。

 

本作は著者・谷津矢車さんが関ヶ原の合戦で輝いた名将・島左近の生涯を、史実と創作を組み合わせて、谷津さんの物語として見事に紡ぎ上げた1冊。

 

 

前半こそ、「仕えるのは辛いよ」なお仕事ドラマ。

固定の職業を求めず、戦場を渡り歩くフリーランスな強者だった。

しかし、戦国時代は終焉へと進み、「大きな戦い」を望み続けた左近は石田三成と巡り会い、お互いが抱えた思いが大きな策となって時代を動かしていく。

 

その先に人の輝きと残酷な結末が待っているのだけど・・・

 

 

関ヶ原の合戦の経緯や三成の遠大なる戦略

左近のいう「武田信玄の兵法を学んだ」話しの真相

藤堂高虎、島津兵庫など、シビれる登場人物のキャスティングの妙

 

最新の史実研究を反映した斬新な展開と、伏線をきちんと回収していく絶妙なストーリーテリング。

通説イメージの方には戸惑うところも多いだろうが、それこそ、歴史小説の醍醐味であり、これからの楽しみ方。

 

歴史小説の楽しみを再認識させてくれた1冊だ。

某には策があり申す 島左近の野望

某には策があり申す 島左近の野望

 

 

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