モーション・グリーン

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〈草原を底から掻き回す戦が続く、ということだ〉読書感想:『チンギス紀 五 絶影』

チンギス紀 五 絶影

 

 

玄翁との最終決戦。

それを通じて明かされるテムジン出生の秘密。

 

そして玄翁の足跡を辿ってたどり着いた、梁山泊の物語。

これで、テムジンと本格的にリンクしていくのかな、と思ったけど、そこまでではなかったな(これからかもしれないけど)

 

この巻の感想は、連載時及び発売前の記事で何度も記したので、ここではそれ以外のことについて書きたい。

 

 

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■テムジンの選択

この巻の中盤から、「チンギス紀」第2章が始まった、というのが僕の印象。

群雄割拠の状態、玄翁というジョーカーが無くなったことで、外交・技術・経済力といった、これまでとは異なる要素がクローズアップ。

 

いち早く鉄に目を付け、組織力・経済力を高めてきたテムジン陣営を、他陣営が意識。

鉄を他の陣営が求め始めたり、商線を伸ばし始めたり、など特色が出始める。

そして、金が動き出すことで、状況は一気に動くことになりそう。

 

金との関係が深い(経済的援助をもらっている)タタル族が勝てなくなり、金との関係が悪化。族内での内紛も起き始めているらしく、このままでは金が見切りを付けることもありうる。

中華(金国は漢民族オンリーの国ではないけれど)が北方の異民族を貢ぎ物で懐柔するのは、北方大水滸伝ではおなじみの構図。

それを同じ民族からみたとき、どう見えているか、というのがこの『チンギス紀』初の非常に斬新な目線。

テムジンからみて(おそらくジャムカも)タタル族は、金に魂を売った、明確な敵認定の民族。だけど、バックに金がいるから、耐えたり逃げるしかなかった。

 

今なら、対タタル族でジャムカや、他の民族と団結して戦える、ということはあるだろう(そうなったこともある)

 

そうなると、金とも戦うということになるが、タタル族と金が仲違いしたら・・・

そして、西遼の存在も気になるところ。

 

民族団結か、民族統一か。

テムジンの選択は?

 

■玄翁の悲劇

前作(岳飛伝)で金を抜けて、蒙古に行った胡土児。

どうなってるかと思ったら、アイデンティティを喪失していたとは・・・

 

楊令の遺児として梁山泊に行くことも出来ず、ウジュの子としてその生涯を全うすることもできなかった。

岳飛が梁山泊と合流できる要素をたくさん持ちながら、幼い頃に楊令に負けた、という出来事を抱えたため、楊令の元にいけなかったことと同様、胡土児の運命は巡り合わせという曖昧な積み重ねで成り立ってしまったんだなあ。

 

梁山泊の宋打倒は、国家とは何かという問いに繋がり

梁山泊・岳飛の金打倒は、民族間の戦いという要素を抱えた。

そして、その"犠牲者"胡土児から生まれたテムジンが、民族という括りを壊そうとしているのは、父の願いに沿ってる、ってことになりそうだ。

 

胡土児の絶望が、どう活かされていくのか。

次巻以降で注目していきたい。

 

チンギス紀 五 絶影

チンギス紀 五 絶影

 

 

 

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