モーション・グリーン

ブログ開設14年目!今年も「紡ぐ」発信を目指す読書・アニメ・特撮感想ブログ。

読書感想(歴史)

読書感想:『桔梗の旗 明智光秀と光慶』~本能寺の変に隠された光秀の願い、凡なる息子が決めた結末~

本能寺の変を光秀の子・光慶を主軸に描いた異色の歴史小説。 前半は光慶視点。後半は光秀視点で物語序盤へ巻戻り、もう一回同事件を追体験することで、二人のすれ違いと事件の真相が明らかになっていく。 全てが判ったとき、光慶が下した決断とは・・・ 四国…

読書感想:『はぐれ鴉 第一回』(小説すばる 2020年 4月号 [雑誌]) ~願うは敵討ち!青年剣客、故郷に帰る~

赤神さんの新作が連載開始! 舞台は江戸時代初期の竹田藩(大分県) 物語はミステリーとサスペンスが入り交じる青年剣客の復讐物語(今のところは) 序盤こそ一家惨殺という衝撃光景から幕を上げる緊張感満載のトラウマ展開。 しかし本編始まってみると竹田…

読書感想:『剛心 第六回』(小説すばる 2020年 4月号 [雑誌]) ~何もかもが足りません?! 広島への議事堂建設最前線~

前回に引き続き、広島に議事堂を作る悲喜こもごも回。 納期も予算も材料も人材もとにかく全てが枯渇していて、しかも急ぎと催促しながら予算承認に時間がかかり、縦割り行政で頼んだことに対してはノロノロ対応。 投げ出してもおかしくない状況の中、一人泰…

読書感想:『塞王の楯 第九回』(小説すばる 2020年 4月号 [雑誌]) ~大津城改修大詰めへ。その『先』を見据えて“絶対の楯”が生まれる~

水城・大津城の改修は大一番へ。 相変わらず城主と奥様が視察するお祭り騒ぎの大津(苦笑) そんな中、高次との会話で発覚したのだけど・・・ 匡介よ、数回前で大津城の改修はできると思う、と構想を提案しておきながら、実際は未知の領域だったのかよ(驚)…

読書感想:『チンギス紀 第三十六回』(小説すばる 2020年 4月号 [雑誌])~勝つべくして勝つ!テムジン、また一つ壁を壊す~

勝負は、あの瞬間に決まっていた。 トオリル・カンが欲を出したときに・・・ テムジンが気付いたときに・・・ 唯一の同盟国・ケレイト王国の裏切りにあい、敗走したテムジン。 が、それは偽装だった。 (わざとぶちまけられた)物資を戦利品と思って回収する…

読書感想:『三人孫市』 (中公文庫)~出会ってしまった生き甲斐。兄弟が駆け抜けた戦国~

戦国時代、鉄砲のプロとして信長を恐れさせた雑賀孫市(孫一という表記もみる) 実在する人物ではあるのだけど、実態はよくわかっていない。 そもそも、下の名前も重秀・重朝など諸説あり、時代も戦国時代中期から末期にまで生存史料があるためそれぞれ別人…

読書感想:『歴史其儘と歴史離れ(Kindle)』~史実とフィクション、その狭間にいた作家の結論~

作家・谷津矢車さんが年初に必ず読んでいる森鴎外のエッセイ。 実は原文が読みづらく(その時代のものとしては平易なんだと思うけど・・・) 、わがままと思いながらも読みやすいものを探していたのだが、kindleで発見。 それでも読みづらいところがあるが、大…

読書感想:『世界の辺境とハードボイルド室町時代 (集英社文庫)』~整えられた定説通りに世界は動かない。二人が見出した世界と日本の歴史~

それは、すてきなツイートから始まったらしい。 【謎の独立国家ソマリランド/高野 秀行】氏族による庇護と報復のシステムを読んでいて思い出したのが『喧嘩両成敗の誕生』(清水克行)で描かれていた室町時代の日本社会である。このふたつ、まったく同じ。い…

読書感想:『布武の果て 第一回』(小説すばる 2020年 3月号 [雑誌]) ~ 時代が動くとき。商業都市・堺 生き残りへの道 ~

上田秀人さん新作が小説すばるでスタート。 舞台は戦国時代 堺。 鉄砲の材料や鉄砲をはじめとした重要品の取り扱いで飛躍的に発展した商業都市。 軍事力をも持ち合わせ、京都での争乱にも対抗できる勢力であり続けたこの地に訪れた転換期。 それは、足利義昭…

読書感想:『剛心 第五回』(小説すばる 2020年 3月号 [雑誌]) ~ 広島に議事堂を作れ!沼尻奮闘記(笑) ~

できる男・妻木に振り回される沼尻奮闘記の回(哀) 呼び出されて広島行ってみたら、日清戦争で一時的に首都機能移転されるから、臨時議会議事堂を作れ、というとんでもプロジェクトが始まることに。 しかも東京と同規模のものを半月でつくれ、だと! 現地では…

読書感想:『塞王の楯 第八回』(小説すばる 2020年 3月号 [雑誌]) ~ 不落の誓い。匡介の脳裏に浮かんだ墜ちない城の姿 ~

絶対に墜ちない城への思い。 二度も落城の憂き目を見たお初一行 つく相手を間違えて没落した京極家 だからこそ、願い続け、今なお求め続けている。 陽気で、どこか上下隔てない大津の雰囲気、けどその中に、失いたくないという恐怖が見え隠れ。 今の状態なら…

読書感想:『チンギス紀 第三十五回』(小説すばる 2020年 3月号 [雑誌]) ~ ケレイトのノラ息子がやらかした!混沌の草原にてテムジン×ジャムカ再会の時 ~

タルグダイ夫婦が草原を越えて金から南宋へ。 内実はともかく、見た目は老後の記念旅行(終末旅行にも見えてしまうが)。 ここまできたら小梁山行きそう。というか行って欲しい・・・ 彼らがいなくなった草原ではマルガーシが覚醒。 母を殺した相手を切り落と…

読書感想:『戦国大名と分国法』 (岩波新書) ~ 法から見える中世日本。戦国大名に求められたもの ~

応仁の乱終焉から、各地で有力者が自治に動き始めた戦国時代。 それまで領地をおさめていた大名の権威が失墜し、新たな存在がその地位につく。 戦国大名と後に呼ばれる実力者は、ときに周囲と同盟を結び、ときに領土を拡張し、わかっている者は内政にも力を…

読書感想:『今川氏研究の最前線』 (歴史新書y) ~ 日本で最も進んだ戦国大名、その実態 ~

「桶狭間で負けた名家」 「油断して首を取られたお歯黒大名」 織田信長飛躍の踏み台イメージから、今でも抜け出せない今川家。 だが、「海道一の弓取り」の名の通り、この家は当時の日本の中で間違いなくずば抜けた実力を持った大名だった。 検地や楽市制度…

読書感想:『幕末下級武士のリストラ戦記』 (文春新書) ~ とある武士の生ききった日々、苦難の新時代の乗り切り方を学ぶ ~

歴史の教科書に載らなくても、心に響く生き様を示した人はたくさんいる。 かつて『武士の家計簿』という本で、(その当時は軽視されていた)“そろばん術”で我が家を立て直し、その能力を買われ明治の時代に躍進した武士を知ったときの“嬉しさ”を今でも憶えてい…

読書感想:『征夷大将軍研究の最前線』 (歴史新書y) ~ 歴史は後で整えられた。今なお進む過去の研究最前線 ~

武士の統領の証・征夷大将軍。 幕府を開く“条件”として歴史の教科書に載っていることが多く、鎌倉・室町・江戸の時代を象徴するひとつの“記号”でもあった。 その“常識”は、果たしてどこまでが実態だったのか。 本書を読むと、実は征夷大将軍という位、後にな…

読書感想:『廉太郎ノオト』 (単行本) ~ 無数の壁を越えて、思うがままに。その果てに聞こえたオト~

若くしてこの世を去った音楽の子・滝廉太郎の生涯を綴った作品。 もっと拡げてもいいだろうに、と思う日々の描写が一瞬で通りすぎ、 何気ないやりとりに生々しさや暖かさを凝縮させる。 きっと、廉太郎はこういう場面が好きで、こういう場面にたくさん出会う…

読書感想:『剛心』 第四回(小説すばる 2020年 2月号 [雑誌]) ~ 先行きが不安な今だからこそ、抗え、職人魂~

気がつけば、時間は進み、憲法発布。 そして議会が始まるなど、日本は着実に近代化へ。 が、国民目線になると、憲法の中身知らずに、発布めでたいめでたい、と騒ぐ奥様(爆) どこか大らかなな明治日本の姿はどの作品でも微笑ましいなあ。 といいつつも、前回…

読書感想:『塞王の楯』 第七回(小説すばる 2020年 2月号 [雑誌]) ~ この城主にして、この妻あり(苦笑)お人好しの国を守る!匡介の決意が高まる回~

塞王に守られた人がいた。 その土地をいい場所にしようという思いがあふれていた。 お人好しの城主が守ろうとする街・大津。 図らずも匡介の求めた環境がそこにあった。 それにしても、城主も城主なら、妻も妻(笑)。 今も昔も、本人は善意のつもりで色々言っ…

読書感想:『チンギス紀』 第三十四回(小説すばる 2020年 2月号 [雑誌]) ~ 負けから這い上がる漢、勝って墜ちていく漢~

決戦で敗北した連合軍。 大なり小なりぞれぞれが負けを噛みしめているなか、この漢は西で大きく躍動する。 縛るものがなくなった?ジャムカ。 家族とか、親戚とか、いろんなことが足かせになっていた雰囲気はあったけど、ここまで闘志の炎が燃え上がっていた…

読書感想:『性と愛の戦国史』 (光文社知恵の森文庫) ~ テーマ別戦国時代、知れば時代理解がもっと深まる ~

日本史のなかでもファンが多く、認知度が高い戦国時代。 だけど、テーマ別にみていくと、まだまだ知らないことがたくさんある。 本書、タイトルからして外で読むのは恥ずかしい1冊なのだけど、当時の日本人の倫理感や意識優先度など、観るべき所はたくさんあ…

読書感想:『勝海舟と幕末外交 - イギリス・ロシアの脅威に抗して』 (中公新書) ~際どいバランスの上にあった幕末日本の実態~

幕末、江戸幕府と海外諸国との間で繰り広げられた熾烈な外交戦。 日本(幕府)は一歩間違えれば、対馬か蝦夷地(北海道)が列強の植民地になる可能性を秘めていた。 (事実、そういう打診をしてきた国は存在している) 幕府内でも「○○国と組むべきだ」みたいな意見…

読書感想:『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』~ 歴史認識の解像度が上がる1冊~

座談会(対談)本ってたいていはおもしろくない。 要約になっていたり、お互いの意見をなぞっただけ、で終わることが多いからだ。 けど、この本は違う。 周りを気にせず、お互いの知識や見識をノーガードでぶつけていく。 あるとき、波長がピタリとハマる。生…

【2019年読んだ本ランキング】20位~16位

読書メーターで毎年作成している、読んだ本の中で、最も良かった本ベスト20。 2019年はここ数年の中で、一番すんなり決まった年だった。 いつもはベスト20に入りきれなかったり、順位が定まらなかったりしたものだったけど・・・ それだけ、「これだ…

〈けど、きっとどうにかなります〉読書感想:『三木城合戦記』 命、散りゆけど(後編 最終話)(小説すばる 2020年 1月号 [雑誌])

開城、そしてその後を描いた最終回。 何かあるんじゃないか まだ波乱があるんじゃないか とビクビクしながら読んでいた。 加代たち名も無き領民や、伊織ら有志の別所武士団からすれば、開城して命救われればそれでよい、ということではない。 手術が成功した…

〈政治主導ってめんどうだ〉読書感想:『剛心』 第三回(小説すばる 2020年 1月号 [雑誌])

前回から引き続き政治主導のご都合展開にげんなりする展開。 現場からするとやりきれない思いをさせることばっかりだなあ。 井上馨、もう少し仕事してくれ(苦笑) 外交方針が変わり、内閣が変わる。 未だ長州や薩摩出身といった派閥が政治の中心を取り合う時…

〈儂は戦に疎い。縄張りは任せる〉読書感想:『塞王の楯』 第六回(小説すばる 2020年 1月号 [雑誌])

匡介、蛍大名・京極高次とご対面。 高次、しゃべればしゃべるほどいい人すぎる(笑) よく生き延びてきたなあ。そこらへんはやはり、“蛍”の存在があるが故の開き直り、なのだろうか・・・ ちなみに、雑誌連載なので挿絵があるのだが、描かれていた高次はえびす…

〈新しい戦の絵図を、俺は描きたい〉読書感想:『チンギス紀』 第三十三回(小説すばる 2020年 1月号 [雑誌])

大戦は、勝敗だけを決めるのではない。 勝った方も、負けた方も、何かが変わる。 そしてそれは、いい風に変わるとは限らない。 草原の覇権を廻る総力戦を制したテムジン。 事後処理や周辺掃討を他武将に任せられる人材豊富ぶり、盤石な体制に見えてきた。 今…

〈これが、生きるということだ〉読書感想:『チンギス紀 六 断金』

金国と最も近かった民族・タタル族。 テムジン達にとって仇敵とも言える彼らが、金国と対立関係に。 金国VSタタル族に、テムジンは金国側として参戦。これが周辺の民族との関係を一気に悪化させる。 ジャムカとの別れ。 草原が赤く染まる予感。 そして、夢…

〈役人に対する江戸市民の通信簿〉読書感想:『『よしの冊子』にみる江戸役人の評判 武士の人事評価』 (新人物文庫)

江戸時代後期、松代定信が老中の時代。 幕閣や奉行に対する町人の評判は、意外と実態から外れていなかった! まるで町人による通信簿のようなことが記されている『よしの冊子』。 これを中心に、江戸時代の役人の実態を分析解説した1冊。 評判良かったのに…