モーション・グリーン

ブログ開設14年目!今年も「紡ぐ」発信を目指す読書・アニメ・特撮感想ブログ。

北方水滸伝 名言集3

俺たちの兄弟が、この世に多すぎると思わないか

                            魯智深

 来るべき日のために。

 魯智深は、これは、という漢を訪ねる旅を続けていた。宋政府の中心地、開封府に現れた彼は、塩の闇ルートを握る商人、廬俊義と接触をはかった。戦いに必要な軍資金、及び後方の補給路の確保などを含め、銭は必要だからだ。

 魯智深は、ごろつきに囲まれた廬俊義と、彼らを打ち倒した従者、燕青と出会い、自分の決意を話す。

 「俺は、銭を必要としている」

 「何のために?」

 「戦だ」

 「どこと、戦をされる?」

 「この世の不条理と。人を腐らせる魔物と。」

 腐りきった世界。誰が、というわけではない。明確な相手がない戦い、実態のない毒素を消す戦い。そこに理由が必要ではなかった。説明しなくても、動き出せばそれが理由になる。理由を求めている間にも、この世は悲しみと憤りが増え続けているのだから。

 『この世の不条理』に両親を殺されたことを語る魯智深。燕青も『この世の不条理』の犠牲者であることを告げる廬俊義。俺とお前は兄弟だ、と燕青に告げた後、そこに加えたのが、上記の言葉。

 これは嘆きだ。自分たちの兄弟がいるということは、この世が怒りと憎しみに包まれている証。兄弟が増えないことが平和である証明なのだから。

 これは決意だ。悲しみは分かち合えるかもしれない、でも分かち合って傷つき続けるくらいなら、誰も傷つかない世界のために傷つきたい。

 これは始まりだ。そう、『この世の不条理』を打ち破るための。世界を変えるための・・・

 水滸伝(1(曙光の章))