「いま、われわれがほんとうに見つめなければならないのは、自らの内なる志ではないか。私は、そう思う」 楊令伝はいよいよ新章に突入。開封府を包囲する金軍をよそに、梁山泊はいよいよ国について考えなくてはならない時期になってきました。誰もが、帝があって丞相がいる国を思い描くなか、楊令は己が考える国について宣言する。それは、棟梁に舵を任せるそれまでのやりかたとは違うようです・・・ ○国とは 楊令の考えをおおざっぱにまとめれば、議会制民主主義ということになるんでしょうか。 少なくても、帝→丞相→官僚といったトップダウン方式では宋と変わらないし、帝のための国ということになる。梁山泊が戦い続けたのは権力を奪うためじゃなかったはずだ、と楊令は語ります。 では、何のための国か、誰のための国かというところで、楊令は民のための国を打ち出します。 この26回では様々な人々がかつての梁山泊と新生梁山泊との違いをこれまでにないほど明確に述べています。梁山泊の違い、それはすなわち民についての考え方。 宋江や晁蓋の考えには民(民衆)の蜂起による宋の打倒という理想の形が存在していた。実際宋江と晁蓋は民の蜂起と兵力の違いで次第に対立していましたが、梁山泊という民に支えられし国とその豊かさで国を変えようという意思がありました。 それに対し、楊令率いる梁山泊は、対照を宋の禁軍(具体的には童貫)に絞った戦いを行ってきました。崩れていく宋を支えている禁軍を倒すこと=宋の崩壊と定義づけることでゴールとそのプロセスを明確にしたのですね。なので兵力も少数精鋭でよかった、禁軍を倒せれば良かったのですから。 結果として梁山泊軍はあくまで軍のみで禁軍と戦った。禁軍も地方軍や民衆を巻き込もうとしなかった。民から見たら、他人事のように見えたのかもしれません(実際、韓世忠は冷めた目で梁山泊や禁軍を見ていました)果たして梁山泊は民に近づいていけるのか、今回軍に回されることがなかった韓成と宋万はそのカギを握っている存在のように思いましたが・・・ 楊令の発言は、梁山泊メンバーにも衝撃を与えます。楊令のいう形が生まれるということは、自分の意見や思想がなければ国が動かない、ということなのだから。そこで呉用が言ったセリフが冒頭の言葉です。 付き従うだけの存在ではなく、共に作り上げる存在へ 難しくも夢のある展開が始まりそうです。 ○国が崩れる日 隆盛の刻の梁山泊とは対照的に崩れゆく宋。後に南宋の主軸となり金軍と戦っていく岳飛や劉光世が、どう宋を支え、立ち直りを見せていくかが楊令伝のもう一つのポイントなだけに、主要メンバーと彼らを支える新メンバーとのやりとりは新鮮ですねえ。特に岳飛陣営は後の展開を予感させるように将校候補が何人か現れてきたのが印象に残ります。一応今回で金軍との講和が成立し、史実ではもう一度金軍は開封府へ攻めてきますが、それまでに李富ら西蓮寺は動くのか、北に変化はあるのか等々見逃せない点が山盛りです。 ○その他 ・なんとなく予感はしていた侯真の恋。今のところ支障はないとはいえ呂英や西蓮寺の目が光っているので不安はあるなあ。 ・侯真とは別方面で想いを馳せる燕青。ちょっとしんみりするシーンだったが、これで西連寺内にも何か変化が生まれるのか? ・「楊令が開封府に凱旋する姿を思い描いていた」曹性の考えが梁山泊メンバーの考えを象徴しているようだった。このセリフは印象的。 〔楊令軍〕 (黒騎兵) 100 楊令 蘇琪 (青騎兵) 100 張平 (班光隊) 2000 班光 (蘇端) (越里隊) 2000 耶律越里 〔遊撃隊〕 3000 史進(赤騎兵200) 鄭応 〔呼延凌隊〕 8000 呼延凌 李英 鍾玄 (騎馬4000/歩兵4000) 〔花飛麟隊〕 8000 花飛麟 董進 鄧広 (騎馬4000/歩兵4000) 〔韓伯竜隊〕 4000 韓伯竜 孫安 馬霊 (騎馬2000/歩兵2000) 〔鮑旭隊〕 12000 鮑旭 岑諒 田忠 (騎馬2000/歩兵10000) 〔ショウ丹〕 〔郭盛隊〕 20000 郭盛 党厳 周印 〔工兵隊〕 1000 陶宗旺 〔砲兵隊〕 呂皖 〔重装備隊〕 600 李媛 荀響 【予備役・所属不明将校】 韓成 宋万 祖永 曽潤 山士奇 黄鉞

