「俺にとっては、棟梁だ、韓成。おまえにとって頭領たり得ているかどうか、おまえが決めればいいことだろう」(李俊)
○
梁山泊ーそれぞれの頭領ー
志を果たすために、求め続けた「頭領」
その「頭領」に応えた楊令と、求め続けたメンバー。
その結果一応の本懐は遂げた。でも、俺たちは、求めすぎたんじゃないか?
ようやく楊令以下のメンバーがきちんと向き合う流れになってきた。しかもそれが李俊と韓成というのがgood job

新たな国づくりという課程において、それぞれがどんな国を、未来を描き、実際に築いていくなかで個々のオリジナリティを創出できるか、というより現実的な課題が、童貫戦以降の
梁山泊のメインテーマだと僕は考えているのですが、そのテーマの入り口に入り始めた印象が強い、この28回。
李俊が「己の中の頭領」と楊令を評していたのは重要かもしれない。少なくても李俊は、これまでは楊令と共に戦うことを決めていた。じゃあ、これからはどうするの?という自分本来の考え・思想・想いに向き合っていくきっかけになりそうだなあ。原典では李俊は
梁山泊を抜けるけど、楊令伝ではどうだろう。国作りの中、これからも
梁山泊のメンバーとして楊令の下で働いていくのか。それとも本質として持ち合わせている、自由気質の方へ傾いていくのか。
そもそも他の軍人メンバーに比べ、シニカル視点を持ち合わせた覚めた目で戦っていて、国の構築にそれほど思い入れがあるわけではない。本人もどちらかというと自由へのあこがれがある。でもこれまでの戦い、戦友との絆に対して、きちんと折り合いをつけてほしい。それでこそ李俊、という別れ方を(あれ?なんで抜ける方に話が進んでいるの?)してほしいなあ。
そして韓成に大きな飛躍の予感

方蝋軍残党との日々の中で、人の気持ちに触れられる感性(ダジャレ?)が花開いた印象。感じることのできる人間は、より大きな世界に触れたり、感性を表現できる技術を身につけると一気に開花すると言われているだけに楽しみ。
呉用の元でどんな成長ぶりを見せるのか、期待が持てます(^O^)/
○李富ー
南宋誕生へー
やはり来たか、
南宋。
他の
軍閥との連携による、新しい国家の創設。ここまでは計算通りといったところでしょうか。この後は、金、傀儡政権、そしてその周辺国家との外交の駆け引きでもう一度中原へ返り咲く、というところなのかな。
ただ、中原への道に立ちふさがるのは、やはり
梁山泊というところは変わらないところ。ここで
岳飛VS楊令の宿命の戦いか?(まだ先でしょうが)
○金ー宋制覇のひずみー
本当に蔡福は変わった、というより己にくぎりをつけた、というところなのか。
元々
梁山泊と金との架け橋として、金に在住していた身。両者の宙ぶらりん状態の中で、本人の中でなにか不安定な状態だったものに、ようやく線を引けた、だから後は蔡豹にもう一度会えれば、安らかな晩年を迎えられそう・・・なんだけど金の不安定さを見ると、どうもそんなに楽にはいかない、、、よねえ。
開封府陥落までの流れは久々に緊迫する流れで読んでて楽しかった。まさかまさかの呂英登場で陥落するとは思えなかったけど

とはいえ、兵糧やら攻城装備の不足を
梁山泊からも傍観されてるこの状態は、さすがに寂しい気が・・・
○その他
・李媛、なんだか初期の花飛麟のごとき暴走ぶり。その後の楊令との会話を読む限り落ち着いたのかな。
・韓世忠。久々の登場で、一気にバックボーン確立。理論と確かな視点を持っているのかと思いきや、意外に感覚で動く(やや)曖昧な立ち位置。でもこれが他の大勢の勢力リーダーの感覚なのかも。
・
岳飛陣営は明るい雰囲気が出ててるのを感じる。読んでて微笑ましくなってくる。
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