「なにが正しいのかなんて知らない。僕が今動くのは、その人に行って欲しくないって気持ちを聞いたからだ」
(レイフォン)
雨木 シュウスケ
富士見書房 (2010-04-20)
売り上げランキング: 41
第3部スタート、ということで文字通り仕切り直しの1冊。
変わろうとするもの
変わっていくもの
そして変われないもの
時の流れ、環境の変化など、様々なことを経て、(少なくてもいずれ)訪れる決断の前哨戦?
分かり切っている出来事と、決められていないその先の未来への想いなど、学園ドラマな雰囲気の匂いが当初のレギオスらしくなったかも。
◆変わろうとするもの
まあ、これはほとんどのキャラクターがこれに当たりますね。
というか、これに当たらないのが主人公というのが、ねえ(笑)
新たなヒロイン候補?のクラ
リーベルがツェルニに移り住んだ(?)ことで、レイフォン争奪戦の激化は必至か(笑い)
これまでの女性陣になかった‘積極性’を持つクラ
リーベル(クララ)。とにかくカワイイ。あのフェリが完全に押されてる(驚)まあ、ただの天真爛漫キャラではないことは、今巻の後半を読むと見えてはきますけどね。
そして、フェリにも転機?
「できない可能性ばかりを挙げていけば、なにもしなかったという事実しか残らない。そしてそれは、惨めな自己正当しか心に残さない。その程度のものが欲しくて、君はここにいるのかい?」
(カリアン)
果たして彼女は、レイフォンを変えることはできるのか?嫌な部分にも触れていかなければならないこと。浅い付き合い、あこがれ、シンパシー以上の深さまで進むこと、そしてそれは、リーリンが成し遂げようとして、放棄?してしまったこと・・・
そのリーリンは、気が付けば、変わった現実に、静かに向き合い始めていて・・・
ツェルニでは生徒会長選挙が始まっていたり・・・
メイシェンは自分の夢に進み始めていたり・・・
過去との決別か、エゴか。シャーニッドが苦悩していたり・・・
◆変わろうとするもの
少し前後しますが、例え、ツェルニが平穏な流れに包まれていても
それを取り巻く情勢は深く速く進んでいて
そしてそれは、気付いた時には、世界は終わっているのかもしれない。
正直、レギオスの世界は外伝読まなきゃ(外伝読んでも)わからないことが多々ある。なので、今後の展開を予想しづらいのは事実なのだけれど
その世界の侵攻する予兆に、ニーナが重要なポジションに就いてしまったことは間違いなさそう。
廃貴族に電子精霊、この大きな力を内に秘めているのだから、世界の変化を肌で感じているはず。
学園生活の穏やかな、そしてスケジュール通りな流れと、学園生活全てを覆う流れとのミスマッチ。
違和感を感じつつも、これが予兆かと思うと、学園生活自体が崩壊するのかなあ、と不安も・・・
そんな中、この男は、変わるどころか後退してます・・・
◆変われないもの
わかる
わかるんだけど
何か、腹立ちを覚えるのはワタクシだけでなないはず

このポジションに主人公が置かれること自体異例なのだけど(笑)
作者が、学園生活にレイフォンを戻そうとした理由が、こうなって初めてわかる気がする。
前巻までのような、深く考えるヒマを与えないほどの戦いの連続だと、その流れにレイフォンは乗り続けてしまう。それは悪いことではないけれど、目の前のことばかりやっていて、成し遂げていればOK,という流れにはしたくなかったのだろうな(戦いに関してレイフォンが強いだけに)
戦いも任務も、あればレイフォンはそのために力を注ぐだろう。シャーニッドの父と戦ったのも、喪失という同じ要素を共有してしまったこともあるけど、自分の持っている力を解放できる‘理由’を見つけてしまったから。
人間は停止を基本的に嫌う、と言われている。思考や体力に余裕が生まれ、自分のことを振り返れる状況になって、これまでのことや今後のことを考えるのは、思考を停止させないため。現代に置いても、将来のことを考えるのは、仕事や生活に余裕が生じる時が多いのと、流れは同じ。
激戦の後の生活。武芸者としての必要性の消失、グレンダンという故郷の存在の喪失、そしてリーリンとの別れ。整理すればするほど、自分が進もうとした道の全てが消えている。その喪失から、レイフォンは立ち直ることはできるのか。
そして、カリアンが(ずいぶん前から)警告している、他者に己の動く理由を委ねてしまうその弱さを、乗り越えることはできるのか。
ニーナも、フェリも、クララも、リーリンも、そしてメイシェンも、世界の変化と関わっているぞーーー
そして、エピローグがもろ次巻&今後の予告なのには吹き出した(爆) カリアン、めちゃくちゃカッコイイじゃないですか、ホレなおしましたよ(?)
雨木 シュウスケ
富士見書房 (2010-04-20)
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