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【2013年読破本263】史記 武帝紀 5 (ハルキ文庫 き 3-20)

史記 武帝紀 5 (ハルキ文庫 き 3-20)

 

 

 

北方御大が影響を受けた、と随所で語る作品がある。

中島敦『李陵』だ。

まさに、『史記 武帝紀』において、全く同じ時代・同じ人物を書くことを意識していたに違いない。

 

前巻で世代交代がほぼ終わり、いよいよその時がやってきた。

苦難と隠忍の日々を経て、躍動する匈奴。

それに対し、“敵を見ず武帝をみて”戦をする漢軍。

目的と情熱が薄まった戦いで李陵は捕らえられ、亡き名将の再来を渇望していた武帝は判断を誤った。

そして司馬遷は自我を曲げなかったが故に罪を被り、囚われた蘇武は北でただ、“生きる”ことに目を向けていく。

将来を嘱望された三人が思わぬ形で人生の岐路に立ち、三様の結論を出していく群像劇がこの巻の見所。

 

北方作品の中で最も濃厚な「権力の輪廻」が描かれ、大きな渦となっていく。

国とは何か、権力とは何か、夢とは、理想とは。

普遍的なことだからこそ、僕らは絶対永遠なものはないことを、感じ取らなければならないのだ。

 

なお、北方作品で意外と出てくるサバイバル描写、それが研ぎ澄まれてきたのはこの蘇武からといってもよく、彼の目から見た漢や帝、国という存在の儚さは、全てから遠いところにいるからこそ、感じ取れる真実。

生きることの尊さがにじみ出ている蘇武から出てくる言葉の数々、今なお胸を打つメッセージだ。

 

史記 武帝紀 5 (ハルキ文庫 き 3-20)

史記 武帝紀 5 (ハルキ文庫 き 3-20)

  • 作者:北方 謙三
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2013/12/14
  • メディア: 文庫
 

 

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