いよいよ物語は個々の人生の決着へ動き出す。
心のバランスを崩してしまった李陵。
彼のみを付け狙うかつての部下・孫広が、漢最強の武将ってのが・・・時は無情だ(涙)
悪いのは武帝の裁断、とみなわかっているからゆえに、どこか理不尽さを抱えていたのだけど、李陵の姿にふんぎりがついてしまったらしい。
ひとしきり戦い抜いた李陵は心を癒やすために北へむかい、その先には蘇武が。
極寒サバイバルの筆がノリまくってる御大(笑)
鬱展開(というか暗い)トーンが多い中、ここが見所になってきたくらい、蘇武パート読み応えある。
そして、司馬遷はただみて、記録し続ける。
彼は武帝・劉徹を見つめ続けることで、人の性をしり、自分がその流れの一部であることを感じつつ、自分の中の歴史を紡ぎ出す。
そして、武帝はせまりくる死と向かい合わざるを得なくなる。
彼の意志を汲む家臣はいなくなり、漢は少しずつ、少しずつ変わり壊れていく。
匈奴はかつての領土を取り戻すべく、最終決戦へ着々と歩みを続ける。
頭屠が見出した匈奴らしさは、必要以上の豊かさ不要という認識へ。
負けが続く漢に残された道は、経済力で折り合いを付けていくという状態に戻ること。
結局のところ、先祖返りということになりそう。
それはそれで哀しいねえ。
何のための武帝の数十年だったのか、ということになる・・・
いよいよ次巻が最終刊。