まさにタイトル通り。
これが史実の忠臣蔵。
歴史研究に定評の高い山本さんが読み解く、脚色無き忠臣蔵の姿。
その時期は、武士としてのプライドが未だ残っていた時代。
その一方で、平和社会における秩序の確立を整えていこうという権力(幕府)側の意向で社会変化が起き始めていた時代でもあった。
それは変化の境目で一分をたてることができなかった‘最後の武士’たちが命を賭けた事件の実態。
城を明け渡して後の赤穂浪士の苦難の日々はもちろん、大石内蔵助の高い経済感覚や、処分がないことで返って反感の的として‘見切られた’吉良の孤立など、講談などでは語られてこなかったことが、きちんと史料を検証していく中で浮かび上がっていく。
討ち入りは単なる浪士達の仇討ちではなかった。
起きてしまった原因も、成功したその要因も当時の世相にあった。
そのことを、この本を通じて知って欲しいなあ。
最近は日本史も“実態”を知ることが求められてきた。
大事なのは脚色や“編集”された光景ではないってニーズが高まっているのだろう。
今後も新発見があるかもしれない。
歴史、なのに、変わっていく。 このことを面白い、と思えたら、もう歴史ファンの仲間入り(笑)
この先もさらなる研究を期待したい。