帰ってきた英雄。そのまなざしは、遙か先と確かな足元を見据えていた。
ようやくテムジンが戻ってきた。後のモンゴル最大の英雄・チンギス=ハンの始まり、となるのだろうか。
よくよく考えてみると、テムジンは外の世界を見る絶好のタイミングで故郷を出たんだなあ。
弟殺しの身で、飛び出して、そして戻ってくる、彼が戻ってくることが、ある種の相図となって、各陣営が動いていく。
最大のライバルが渇望されているこの民族感覚はもうひとつわからないのだが(苦笑)確かなことは家族の結束が本当に愛おしくなるほど強くなっていくこと。特にお母さんホエルンは北方文学の中でも傑出した完成度の高さ、理想の母親ではなかろうか!
北方作品の中でも珍しい「待つ大家族」。もちろん家臣も仲間?もいるのだが、家族が大きな存在として描かれているのも印象深い。家族がこの作品の大きなテーマなのかもしれない。