試し合戦とはいえ、ここまで合戦の詳細をみせるマンガも珍しい。
槍ぶすまの弱点とか、戦国時代の集団行動の極意とか
とにかく作者は戦国時代を相当研究しているのがわかる。
非常に説得力のある内容が多い。
柴田勝家の棒とか、可児才蔵の登場といったツッコミこそあるものの、そこはご愛敬
そんなこといったら半兵衛もこの場所に入られない。
(いや、むしろ半兵衛が秀吉に付き従う時期を、史実ベースに合わせていることの方が潔いのだけど)
個々の武勇ではなく、集団での強さに、出世の道を見出す木下隊。
まさに信長が求める組織像だったのだろうが、その集団が戻るべき場所になっていけばいくほど、センゴクが強くなっていける、という好循環。
みんなで這い上がっていく、先々が楽しみなチームになってきた!
そしてこの巻最高のシーンは、センゴクが見据えた信長の深奥。
不器用という性格もさることながら、人間の本能への渇望という本心が芯食い過ぎている!
尾張兵の弱さを知っている信長は、槍を長くしたり鉄砲を増やしたりして、兵士の気質に関わらず勝てる組織作りを進めた、と言われている。
組織化を通じた均等化を推進した、
その信長が渇望したのが、“人間らしさ”
後年の人使いが荒い信長のことを思うと、非常に重要な内容であり
並の歴史研究本よりも“信長”を捉えている気がする。