やっぱり孔明が死んだ後の三国志って、魅力が半減するよなあ、ということを再確認した1冊。
混迷と躍動が入り交じる時代が終わり、個々から集団、波乱から安定へ。それまできらきらと生まれてきた偉人・英雄がぱったりと出てこない不思議さ、やはり“それからの三国志”はどこか小さく予定調和なのだ。
ちなみに、孔明死後の三国志について知りたい方は【文庫】 それからの三国志 上 烈風の巻 (文芸社文庫)とそれからの三国志 下 陽炎の巻 (文芸社文庫)がオススメ。
他にも新書などで最近は取り上げられることが増えてきている。ゲームの影響かもしれないが、いい時代になったモノだ
史実では、三国の中でその命脈を保ったまま中華を統一した国はない。最大勢力・魏は司馬氏によって滅ぼされることになるが、そもそも、魏の建国者・曹操の後継者選びと円滑な引き継ぎ不足が、その後の混迷を招いたといっても過言ではない。残された息子娘の行動が、魏を衰退に向かわせ、晋に取って代わられる事態を招く。
(といっても、言うほど簡単ではなく、引き継ぎが上手くいった事例を探す方が、難しいような気がするが・・・)
本書では、曹操の子供たちの、いずれもどこかちぐはぐしていた後半生が描かれている。陳さんの著書は久しぶりだが、どこか引いて、どこか叙情的な書き方が、曹丕・曹植の生き様と重なり、切ない思いにかられる。本全体が悲しみの雰囲気を紙から醸し出しているようだった。
特に曹植の最期は、英雄の後継者候補になってしまったことが、悲劇だったのでは?と思ってしまうほど悲しいものだった。(曹丕もそうだったが)英雄の子供は、やはり辛いモノなのだ