これまでのツケがまわってきた利休。
悩みながらも自分なりの「わび」=創意工夫が目覚め始めた織部。
これまでダメ出しをされて、工夫してみて、またダメ出しされて。
そんな関係だった二人。
ただ、運命はここで大きな分岐点へ。
(まあ、今巻でも織部は利休にダメ出されているけど)
次巻当たりが利休の最期になりそうだが、この時点でプロセスがしっかり描かれているので、利休の死についてはこれまで出てきているどの説よりも説得力がある形になりそうだ。
ここにきて、序盤の本能寺の変での伏線がボディブローのように効いてくる。
そして、石田三成の嫌みのような攻勢も利休(いや、豊臣政権)に影を指す。
さらに、利休は相互理解をどこかで求めている秀吉の手を突き放し、茶壺を割ってしまうとは・・・
つくづくかみ合いの悪い二人だな(涙)
もっとも、三成との権力争いが利休を殺した、という通説のような展開は、この作品では見られない。
秀吉は老いてはいるものの、まだ権力者としての矜持があり、三成に操られるほどの堕落はしていないからだ(むしろ、三成を抑え込んでいて、それが三成の小さなを助長している)
政治権力と文化権威。相容れない二つの価値観の激突、という所は確かにあるのだが、根っこにあるのは人間関係。
身もふたも無いけど古来より変わらないその根底を、マンガならではの展開で感じ取らせる。
やはり、この作品はスゴイ。
そして家康がいよいよ表に出てきた。
どこか田舎じみていながら芯がしっかりしていて安定感がある。
今巻は子供じみたケンカやら、十字架背負って歩く独眼竜やら、とボケやギャグも結構横行しているから尚更引き立つわ(爆)