手取川の合戦完結。
通説で言われている秀吉ー勝家の関係図を一掃する、深掘りと愛着を感じる構成だった。
思い起こせば、勝家は初期から登場していて、センゴクにとってもゆかりの深い人だもんなあ。後年の賤ヶ岳が段々怖くなってきたよ・・・
そして舞台は中国・毛利征伐へと向かいつつも、謙信の死という大きな区切りへ。
これまで、様々な作家が迫っていった上杉謙信。
だが、その独特な行動理念と、ストイックな生き様は、(憧れ?を抱かせつつも)、どこか掘りきれずに終わっていった作品が多かったように思う。
その上杉謙信の深奥に、この作品はたくさんのコマを割いて迫った。
そして、結論にたどり着く。
上杉謙信は自我への渇望、永遠にたどり着くことのないゴールへの挑戦者であった。
どれだけの血を見ても、どれだけの困難に遭遇しても、それだけの強敵と相対しても、まるで別れなどないかのように、悠然と構え勇壮に立ち向かうその姿は、死してもなお戦いを求めるその渇望の象徴。
その願いに、終わりがないから、時間すら彼を押しとどめる要素にならなかった。
気がつけば息絶えていてもなお、彼は進み続ける。
そして、家臣や強敵と共に、黄泉の世界でも闘おうとするに違いない。
文章で書くと人知を越えた存在だなあ(苦笑)
絵の力はすごい。その説得力と合わせて、本作品は後世に残る上杉謙信を描いたと思う。
そして、信玄・謙信がいなくなったことで、自身だけの一強と(少なくても自身では)分析した信長の危うさが、黒田官兵衛の危うさと重なっていく。
播磨人の気質が、秀吉を窮地に陥れる予感。
そして援軍にきた荒木村重の表情、ヤバすぎるだろ・・・