竹中半兵衛逝く。
数巻前に、信長が望む世界をきっちり看破し、実現に力を注ぐ一面が意外だったけど、今巻で氷解。
信長の理想に、この乱世の終着の可能性を見出していたんだな。
しかも、相当早い時期に。
張良のような戦略に長けた軍師と、戦術に長けた軍師といるけど、やはり半兵衛は前者。というか理想の姿過ぎる・・・
無機質な結論が出せる。
相手の動きを読める。
先が視えている。
今巻でも魅せた神がかりな頭脳。
だけどそれに酔わない心の有り様を魅せてくれた希有の存在だったなあ。
それでいて自分が必要ない世界をどこかで想像していて、秀吉に理想を託した。
本当は民と触れることに喜びを見出していた。
民の中で穏やかな笑みをたたえたカットに、涙が止まらない。
最期をあえて描かず美しく終わらせる演出に、著者からの無限の愛を感じる。