毎年発表されるランキングがある。
「住みよさ暮らしやすさ」。
この指標で例年日本一をとり続けるのが、富山県。 観光都市・石川に隠れがちな(苦笑)この県が、なぜ住みやすくて暮らしやすいのか。
その内なる秘密と可能性に迫った1冊。
タイトルでは「保守王国」やら「スウェーデン」といったイデオロギー要素満載の予感が漂う単語が出ているが、それらへの言及は比較的薄めなので、読むに当たって大きく構える必要はない。
(その指摘の半端さが、本書の評価が割れる要因になっているのだけど)
ちなみに、富山県は意外と知られていないが“北陸の産業国”としての強みを伸ばすことで、北陸における存在感を放ち続けている。
※石川と純粋に比較すること自体が、そもそも間違い。
(明治初期は石川県の一部だったのが、分かれて富山県になったという経緯もある)
これ知っているだけでも、富山への印象は大分変わるはずだ。
そして、そんな富山の中に息づいている、経済的なものじゃない“豊かさ”の可能性など、本書では、地味だが大切な富山の取り組みや、その県民性が具体的な事例と共に描かれている。
地域での助け合いや共有の精神、つながりから生まれる居やすさの雰囲気作りなど、規模は小さいけれど、これからの日本地域のグランドデザイン作りの前提となるものが、たくさん内包されている。
ガイドブックに載ってない富山のこと、この1冊で本当によくわかる。
水産物の県だけとは言わせない!(笑)
近年注目されている“幸福度”や“心の豊かさ”とは何か。
富山を通じてその正体が見えてくるかも?

富山は日本のスウェーデン 変革する保守王国の謎を解く (集英社新書)
- 作者: 井手英策
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/09/21
- メディア: Kindle版
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富山は日本のスウェーデン 変革する保守王国の謎を解く: 変革する保守王国の謎を解く (集英社新書)
- 作者: 井手英策
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/08/17
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