伊東さんの読書会に向けて久々に読んだ(よくよく考えたら、文庫版読んだの初めてかも)
今さらながら、ものすごい分厚い文庫本だなあ。
600ページ越えという、まさに歴史小説の中でも屈指のボリュームだ(笑)
タイトル通り、信玄亡き後、長篠で多くの重臣が死んで、武田家がゆるやかに、そそいて着実に衰退していき、最後には滅んでいくのだが、それまでの変転がジワジワ進むのがリアルで怖い。
また、当主勝頼やその側近以外の主要人物が著名な人物ではなく、最前線などで闘ういち武将というのも生々しい。
これが伊東さんが作家デビュー後初期の作品なのかと思うと、当時はものすごい作家が出てきたなあ、と思われたことだろう。
もう10年以上も前の作品だが、全く古臭さがない。
色あせない武将達の輝きが、滅びに向かいながらもあがく人の生き様が、いかに尊いかを、我々に示してくれている。
ページ数の多さだけではなく、内容や展開も重々しい1冊。
読み切るのが相当大変だが、それだけの価値がある作品。
じっくり噛みしめて読んで欲しい。