ブックライター
いい響きだ(笑)
ただ、勘違いしてはいけない。
ブックライターとは、作家(小説家)のことではない。
少なくても、この本の著者・上阪さんはご自分をそう定義していない。
依頼された内容を本にするために文を書く職業。
それを、上阪さんはブックライター、と呼んでいるのだ。
上阪さんはどこかの会社に属しているわけではないらしい。
つまりフリーだ。
となると、不安定な職業なんじゃないか、と思えてくるのだが・・・
結論を言えば、ブックライター自体は安定した職業とは言えない。
だが本書では、継続して依頼がかかるそのクオリティ作りや、継続できる仕組み作りが紹介されている。
文章を書くのが好きで、それで飯を食っていきたい、という方には、非常に参考になる内容だと思う。
特におもしろいのが自分への(文章作りへの)値段の付け方だ。
フリーの職業というのは、仕事の流れでいけば下流の存在。
上流の都合で費用値切られたり、不当な扱いを受けることはありそうなポジションだ(偏見?)
ましてや、取材費用や拘束時間、文量(字数)基準など、様々な費用や評価基準が想定できるのがブックライター。
相手の基準と自分の値打ちとのせめぎ合いがありそうなものだが・・・
普通の本なら実態をボヤかしそうだが、上阪さんは本文中でがっつり金額公開をしている(驚)
どうやら、上阪さんはきちんとご自分の値打ちを理解して金額を提示しているようだ。
もちろん、使うかどうかはクライアント(上流)が決めることだが、何でも相手のいいなりではただ使われるだけ。
自分の価値を主張する権利を持っていながら相手に合わせてしまう卑屈ではなく、自分が表現した条件に見合ったクオリティを提示し続けている。
つまり、上阪さんは、相手を選ぶことが出来る土壌があるのだ。
その土壌は、粗々でもいいから一定量文章を書くことや、早めに一度仕上げて、推敲に時間と回数を費やすといった心がけにも現れている。
ブックライターは、文章というアウトプットで世界に存在している。
アウトプットのため、明日のため、先々のために、時間を確保することが、巡り巡って自分のクオリティ維持(向上)につながること、そしてその重要性。
物書きじゃなくても、見習いたい姿勢だ。
まだ、活字は読まれる。
そして、一時期ほどじゃなくても、本は発行され、インタビューは行われ、そして誰かがそれを形にして発信してくれている。
その恩恵と感謝を胸に、今日も本を読んでいきたい。