茶の湯の大成者・千利休。
彼には二人の息子と娘がいた。
偉大な父の跡を継ぐことは並大抵のことではない。
継ぐものは目に見えるものではなく、“心”なのだから・・・
稀代の父の生涯は波乱に満ちたものだった。
残された者たちには、その跡を背負う人生が待っていた。その栄光と転落、その先にある再生を描いた1冊。
利休死後の三人の日々はまさに苦難の日々だった。
その様子は本書後半で描かれているのだけど、あの利休を継ぐもの、なのだからさぞかしもめたのだろうと予想していたら、そうでもなかった(笑)
ひねくれたり、相手を出し抜こうとしたり、という抗争こそあったものの、意外とみんな根はまじめだったらしく(笑)最後はそれぞれの思いを抱えながら、次代へ千家を託していく。
※後で指摘されたのだが、本書には続きがあり、下記二作と併せて「千家三部作」と言うのだとか。
ちなみに利休は求道者として描かれており、本作は謀略説は採用していない。それが故に、利休は秀吉に肩入れしすぎて、権力と文化の境界線を越えてしまい、そこに悲劇がおそいかかる、という流れになっている。
信長→秀吉 という権力のおかげで、茶の湯は国民娯楽になった反面、権力との結びつき、権力との上下関係が生じて、茶の湯は当初とは違う方向性へと歩んでいく。
利休の栄達は速すぎて、周りがついていけず、本人も家族も辛い思いをした。しかし、没落したからこそ、千家はつなぐことができた。
現代に続く茶の湯の道を。
果たして利休の子たちが受け継いだ?茶の湯は利休の理想通り続いていけたのか。
その回答を、続編へ探しに行きたいと思う。