2018年読んだ本の中から厳選したマイベスト・オススメ本20冊。
いよいよトップ10。
10~6位をご紹介。
ここらへんも歴史小説が多いかな。
ただ、この順位に入ってきているのは、純粋に面白かった、という理由ではない。
その当時の自分から今の自分まで、読んだ後の感触が未だに残っている本。
もしトップ3の本がなければ、これから紹介する本たちは、首位争いに名乗りを上げて、自分を大いに困らせた強者ばかりだ。
■第10位 江戸を造った男
もし、本気でこの方のような志を持って生きていけるなら、どんなに辛いことだとしても、歩んでみたい。
この本を読むとそう思えてくる。
救えなかった息子の面影を追いかけながら、それ以上の民を救った商人・河村瑞賢。
日本の水運を変え、食糧事情を変え、そして暮らしを変えた男を描いた1冊。この本で、伊東さんの読者層は大きく変わったと言っていいだろう。それだけの人の心を揺さぶるエネルギーを、この作品と瑞賢は持っている。
幕府もきちんとした見通しがあったし、ビジョンもあったからこそ、一商人でしかない河村に託すことが出来た。理想的な官民一体の時代だったのかもしれないなあ。
仕事への意識が変わっていく今だからこそ、仕事をしている本人の姿勢を、人は観ている。
自分の内面を今一度見つめ、本当の目的を明らかにすることを、もう一度(何度でも)取り組みたい。
■第9位 ゼロ秒思考
僕の2018年は、この一冊を再読したことから動き出した。
A41枚の紙に、とにかく書け!
外資で働いていた方とは思えない手法(笑)だが、これが僕にはベストマッチ!
今でも紙1枚、取り出しては書いている。
まずは書いてみる。そうすると、自然と曖昧にしていたことや、無意識に避けてきたことなどが、紙上に浮き出てくるのだ。
完成形を求め、完璧なものを思い描きすぎている全ての方にオススメしたい1冊。
悩んでいることや気になっていることなど、まずは紙の上に1行書いてみよう。
アナタの中に眠っている言葉が、あふれ出して止まらなくなる。
その中に、アナタが欲しがっていたものがあるかもしれない。
■第8位 新九郎、奔る!(1)
2018年はSNS経由でホントにたくさんの出会いがあった。
ネット上の情報を鵜呑みにしないリテラシーはもちろん大事だが、リスペクトもなければ大事なモノを見逃してしまう。
この本の評価が歴史好きの方々の中でうなぎ登りだったことを見つけられたのは幸運だった。皆様に感謝しかない。
読んで見たら、ホントにおもしろい。なぜこの作品がマンガ大賞にノミネートされないのか不思議なくらい(笑)
流石歴史ファンの方々の目は肥えている。
権力の輪廻、理不尽な血縁関係、そしてあっという間に変わる白と黒。
内包されているテーマが混迷の時代ド直球ストレート。
それを感じさせない描写力が見事すぎる。
■第7位 敵の名は、宮本武蔵
平成がまもなく終わり、新たな時代が始まろうとしている中、「語り直し」の気運が高まっている気がする。
今までも通説が崩れている一方で、新説が部分部分の補強に留まってしまっていて、どこか異物を引っ張っているような雰囲気が残ったまま。
これまでの先人達が紡いできた、通説や歴史小説のフォーマットモデル。
もう、そろそろ変えてもいいんじゃなかろうか?
本作はこれまでの宮本武蔵(武蔵作品)を覆す構成や視点によって、次の時代に僕たちが見出すべき武蔵像を提示してくれた気がする。
吉川作品でしか、武蔵を語れない全ての方へ。
この作品を読んで、是非アップデートしてほしい。
■第6位 大ぼら吹きの城
2018年読んだ歴史小説の中で、最も印象に残った1冊。
近年評価が下がっている秀吉、本書きっかけに人気再燃するんじゃないか、と密かに期待している(笑)
墨俣一夜城を舞台に、“武士たるもの”という固定観念と自分の居るべき場所との間で、秀吉は葛藤していく。
自分の居るべき場所はどこなのか?
自分が命を賭けられる仕事って何だろう?
そして、なぜ自分は「天下を変えたい」と思い続けられるのか?
指示された場所でがんばれば、何か見つかるかもしれない。
そう思った秀吉は、作中で弓隊に配属され、弓兵を護るための盾持ちをするのだが、そこは自分の場所ではないことに、秀吉は気付いていく。
そして、次第に気付いていく秀吉は、自分の場所と機会を求め、命がけの任務に身を投じていく。
秀吉はどうやって自分の居場所を勝ち取ったのか?
本書から学ぶところは多い。