まるまる攻城(要塞と化した街の攻略)戦。
兵力と将校、戦略と謀略、そして人脈と志などなど、持てる全てのものをつぎ込んだ梁山泊の総力戦。
北方水滸伝エピソードの中で屈指の人気を誇るこの話し、ヒリヒリする展開がヤミツキになる!
地味なところからコツコツと積み重ねていき、その時を待つ解珍ら猟師一同と、李応ら有志メンバーの躍動、そして各拠点で奮起する将校たちがどれも見逃せない。
戦場で、戦場以外のところで、多くの犠牲が生まれていく。
特に印象的なのは、北方水滸伝最大の犬死・鄭天寿(涙)
でも、命への足掻きと燃やし尽くしたその残り火が楊令に引き継がれる。
こういう連綿としたつながりこそ、このサーガの大きな魅力で、これに包まれて楊令は育ち、英傑の希望になっていく。
例え全滅しても勝つ。
晁蓋のエネルギーと呉用の戦略、決まったら全てを任せ委ねていく宋江の鷹揚さが、道を切り開く。
緊迫した崩壊スレスレの攻防
人の善意と志を信じなきゃできない内応と寝返り
そして最後は兵力でも経験でもなく、人。
この国の民が見据えた戦。梁山泊が示したその姿勢を、きっとその目に焼き付けたに違いない。