外見は変われても、中身は思っているほど変われない。
匈奴で新たな人生を歩む李陵。しかし、かつての部下を斬り殺したことで、心のバランスを崩していく。
そして、李陵への復讐に燃える漢・孫広の執念が李陵を追い込む。
(もっとも、孫広が対李陵ヒットマンでしかないのが、漢の悲しさ・・・)
傷ついてた李陵は北へ。 そこで待っていた友・蘇武との再会が劇的でカッコよい。
北方サバイバル描写がノリにノリすぎて、最近は蘇武パートを心待ちにしていただけに、蘇武×李陵は癒やされるし、読者として自分を見つめ直すきっかけになるなあ。
サバイバルスキルは李陵の方がはるかに上だけど(笑)空が割れる冬を乗り越えた蘇武が、きちんと李陵と向き合えている。
人間に必要なのは、立場とか地位とか財産でもプライドではない。
それを、二人は教えてくれる。
もはや、匈奴(頭屠)にとってのゴールは見えてきた。
それは、漢にとっては先祖返り、という結末へと進むこと。
あと一戦と定めた最終決戦、勝敗の見えた最後通告へ・・・
老いと孤独で劣化が進む武帝と、それを見つめ続ける司馬遷。
“訪れるはずのない”死を前に、武帝は何をみるのか。
さあ、あと1巻。 物語は個々の物語の決着へ。