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〈あんな遠いところに、梁山泊はあったのか〉読書感想:『水滸伝 11 天地の章』 (集英社文庫 き 3-54) 2019年 9月 10日 (火曜日)

水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)

 

 

危機を乗り切り、呼延灼ら新たな同志を迎い入れ、戦力・兵力とも充実。

だが、立て直すべきは見えないところに存在した。

呼延灼戦での衝撃が、生き残った者を変えていく。

 

仲間の死から死生観を変えていく樊瑞

心の傷が癒えない部下を立て直していく杜興

そして、ようやく動き出す梁山泊水軍。

 

目の前の戦いは落ち着いても次の戦いへの日々が始まっていた。

 

そして、少しこの先へ目を向けるゆとりが生まれたときに、始まってしまった“この先”への抗争。

梁山泊に入山する前の逃避行で目にした民の実態から慎重な姿勢を見せる宋江

自らが先頭にたつからこそ、民はついてくる、と行動を重視する晁蓋。

 

二人の論争は、決断のその時が近づいたからこそ、一層激しさを増していく。

民は立ち上がるのか、それとも静観するのか。

そして打って出る時の見極めという、神にも判らない決断は下せるのか。

 

後で振り返れば、この北方大水滸伝の物語において最後の最後まで問われ続ける、民の実態と国という存在の行方、その先に目指す国家観を見据えた、始め方と終え方はここから始まっていたんだなあ。

この時は、梁山泊が割れて宋に合流する者が出てくるんじゃないか、と思ったものだ。

 

だが、その答えへの道は思わぬ英傑の最期で打ち切りを告げてしまう。

史文恭という北方文学史上最高の暗殺者が、北方作品史上最も強烈で愕然としてしまうラストを生み出してしまう。

 

一人の英傑が消えたとき、新たな戦いの幕が上がる。

 

 

 

水滸伝 十一 天地の章 (集英社文庫)

水滸伝 十一 天地の章 (集英社文庫)

  • 作者:北方謙三
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版
 
水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)

水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)

  • 作者:北方 謙三
  • 発売日: 2007/08/21
  • メディア: 文庫
 

 

 

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