実在した家康の側室・御奈津(清雲院)を描いた歴史小説。
家康を女性目線で見つめたその目線が新鮮。
9割考えているのだけど、最後の一押しを御奈津に委ねてしまうところが、小心なのか茶目っ気があるのか・・・
男目線で読むと、御奈津でしゃばりすぎ!と随所で思ってしまう(笑)
家康が楽しんでいるから、まあいいか(苦笑)
作品は関ヶ原に移動中の家康を島津が奇襲したことや(結構危機一髪だったみたい)、あの"のぼうの城"甲斐姫を登場させたり、など、あまり取り上げられていないエピソードを取り入れたその抽出力と着眼点が秀逸。
そして秀吉の側室になっても勝ち気な甲斐姫VS口が悪い御奈津、という女の戦いが、結構面白い(苦笑)
最後は女の友情につながっていくのだから、女ってわからない(爆)
大坂の陣の章、豊臣をなめてかかる家康を半分見下す御奈津に溜飲が下がる思い(笑)
そして逃げ惑う家康に「そらみたことか~」と言い放ってしまいたい思いに駆られる(苦笑)
物語自体は単調。
だけど、この題材の作品を読み尽くした、という方でも色んな角度からみる楽しさがあることを再発見できる1冊だ。