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読書感想:『ノルウェイの森 (上)』 (講談社文庫)~ 村上春樹代表作、不安定な青春の一ページ ~

ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

 

 

「僕は三十七歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた」

村上春樹の代表作と言われる『ノルウェイの森』は、タイトルから想起される風景とは(ある意味)真逆の場所から始まる。

一文で、主人公の状態と場所とが端的に示されている、として、傑作の書き出しという声もあるらしいが、かつて読んだときはまるで気にせず読み進め、なんとなく読み終えた記憶がある。

 

あれからかなりの時を経て、ものすごい久しぶりに村上春樹の世界へ。

 

主人公・ワタナベ君をはじめとした登場人物の心情やあてどない心の動きを、直接的に表現せず、間接的に感じ取らせる書きっぷりが、今となってはじわじわくる。

感情移入しづらい登場人物たちの複雑さも

ちょっと(というか相当)まわりくどい言い回しも

生々しい(いやらしい?)描写も 改めてゆっくり読むと懐かしく、違った色合いをみせてくる。

 

かつての文学(純文学)は全てを文章にしなかった。

読者が文章を読んで情景を浮かび上がらせて、はじめて作品は読者のものとなっていたのかもしれない。

 

例えば、直子から待望の手紙がきたときのワタナベ君。

普通の小説なら、嬉しさや興奮の度合いを様々な表現を用いて表現しただろう。

この作品では、ワタナベ君がかつて直子と歩いた場所や道筋をなぞるように歩き続け、帰宅して直子の施設へ電話をして、その後出かける支度をしたという行動の過程を淡々と綴っている。

彼が本当に嬉しくてそれを持てあます、という状況だ。

 

読者が動作から察しなければ、ただの報告書のような味気ない文章。

でもそこに、不安定な青春の一ページがある。

昔の読者は、それが出来た。今も読めば引き込まれていく。

純文学の奥深さを再確認したシーンだったなあ。

 

そうなると今の文学って完成形を提示しすぎて説明過多なのかもしれない。

時代や読者の変化も感じ取りつつ後編へ。

純文学、再読の波来てるかも?

 

 

ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/04
  • メディア: ペーパーバック
 

 

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