上田秀人さん新作が小説すばるでスタート。
舞台は戦国時代 堺。
鉄砲の材料や鉄砲をはじめとした重要品の取り扱いで飛躍的に発展した商業都市。
軍事力をも持ち合わせ、京都での争乱にも対抗できる勢力であり続けたこの地に訪れた転換期。
それは、足利義昭を奉じて上洛した織田信長。
未知の存在・信長と、弱体化したとはいえ大きな影響力を持つ三好一族。
堺はどちらにつくべきか。
今井彦八郎(宗久)と魚屋興四郎(千利休)による生き残りの攻防が描かれている。
本文では早くも信長が登場し、取次役として秀吉も登場する。
自分たちの力をあてにし、状況を曖昧に判断しようとする納屋衆(堺商人により方針決定機関)が、信長上洛を機に割れていく様は、この先の堺を暗示しているようだ。
初回から波乱の幕開けとなっている。
タイトルからするに、物語は本能寺の変後の堺についても描かれそうだなあ。
戦国時代に最大の繁栄期を迎えた堺は、その後焼き討ちなどもあって次第に没落していく。 その変転について、がテーマになるのだろうか。
だとすると、あんまり取り上げられていない題材なだけに読むのが楽しみ。
言うまでもなく、当時の人間に未来を予測することはできはしない。
信長か三好か。
読み間違えれば破滅に繋がる、ヒリヒリした展開が続きそうだ。