タイトルに『デザイン』とあるが、ロゴや服飾といった「意匠」を指しているわけではない。
これは、社会の問題や課題を解決(するための道筋を設計)する、という意味の『デザイン』だ。
いわゆる従来の企画や販促は売り上げや利益UPが目的になり、直接的な手法(広告投下、営業力あげる、ローラー作戦)を想起しやすい。
だが、そういったやり方が消費者の財布を開けなくなってきたのは、ご承知の通り。
それに対し、本書で紹介されている事例は共感や納得を前提にした、面白く斬新な施策ばかり。
しかも、結果や効果が問題や課題の解決につながっているというのだから驚きだ。
消費者(ユーザー)視点にたち、例えそれが日常の些細な問題であったとしても、そこの解決に価値を見出せば人は動く。
これまでの視点や目線からすれば「なんでそんなことに」と思ってしまうことにこそ、人がお金を出す、ということがよくわかる内容だ。
本書自体は古い本なので、今読んで目新しさや価値付け要素はそれほど感じない。
しかし、どこにフォーカスするか、という気づきは今尚求められていて、これからもっと必要になってくる。
少し肩の力を抜いて、お金とか規模といった従来視点から引いて見ることを、本書を通じて学んでいきたい。
そして、一人で作り上げるのではなく、みんなを巻き込めるような要素も必要。
「何のために」を深掘りして、「自分以外の誰か(みんな)」がもっと入り込んでいけるような仕組み作りをしていければ、その取り組みが社会の雰囲気全体すら変えていけるようになるかもしれない。
社会(とまではいかなくても、身近な)課題解決に貢献することにスキルはいらない。 気づきとスモールスタートがあれば、共感を得られる。
今後の働き方(生き方)の参考にしたい1冊。