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読書感想:『火天の城』 (文春文庫) ~無二の城がみんなを一つにした 城作り作品の決定版!~

 

火天の城 (文春文庫)

 

 

元々は「伊東潤の読書会」『もっこすの城』関連で読もうとしたのがきっかけ。

久しぶりに手に取って、読み始めた。

 

そしたら、面白すぎて1週間に3回も読んでしまった。

 

職人モノの作品を手掛けたら天下一品の山本兼一作品、その中でもチームワークとプロフェッショナル部門で代表作とも言えるのが、この『火天の城』

 

安土城の築城という、一大プロジェクトにあらゆる分野のプロが集結。

困難や挫折を乗り越え、みんなが前のめりに命を賭けた戦国の“プロジェクトX”

 

材料調達、唯一無二のデザイン、困難を可能にするアイデア、全てのワガママを実現させる現場監督術など、今に繋がる様々な難問を彼らは意欲に変えていく。

 

・城のデザインプレゼンでの「採用されなかったら腹切り宣言」

・材料探しに命がけの木曽探索

・父と子、なかなか伝わらない技術継承への思い

・信長の細かすぎる指示やムチャぶり

※と書きつつ、実は本作の信長はできそうなことしか命令しない。明らかに出来ないことは拒否されると引き下がる柔軟性を持っている。

 

忍びの妨害、作業場に潜むスパイ、随所に潜むトラブルや倒壊の危機。

とにかくいろんなことが起きる。

今なら誰かの責任にしたり、出来ない理由を探したり、待遇の改善を訴えるなど、現状の困難を嘆く雰囲気が漂うところだろう。

 

ところが、この作品の登場人物達は頭を抱えながらも前向きだ。

ときにライバルと協力し、ときに自説を曲げ、ときに励まし合い認め合う。

 

完成させる。必ず実現できる。完成させてやる。

 

自信とモチベーションが前提にある彼らからは、“明確な理由のない楽観さ”すら感じさせる強さがある。

そこにあるのは、自分の実力と現状を正しく分析し、無意味な悲観を抱かないこと。

 

過去の遺物となりつつある昭和の作品から、学ぶべきところはまだまだたくさんある。

 

他にも、ちゃんと意図を汲むヒアリング力や、資材より人の命を尊う心根など、彼らの姿勢が読み手に力を与えてくれる。

まさしく不朽の名作。

未読の方は是非読んで欲しい。

 

 

火天の城 (文春文庫)

火天の城 (文春文庫)

  • 作者:山本 兼一
  • 発売日: 2007/06/08
  • メディア: 文庫
 

 

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