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「さらば、わが友」読書感想:『チンギス紀』 第三十九回(小説すばる 2020年 8月号 [雑誌]) 〜鮮やかな黒の軌跡、ジャムカ草原に散る〜

小説すばる 2020年 08 月号 [雑誌]

 

 

 

このときが、来てしまった。

 

月日が経てば立つほど、このときは確実なものとして、読み手のページめくりに影を指していただろう。

 

ジャムカ、散る。

 

もはや無理だろ、死に場所探しだろ。

そう思うほど、チンギスとジャムカの力は開いていった。

 

お互いが願った草原の統一はあと一歩のところまで迫ってきていた。

皮肉にも、民族が争い続ける要因を、お互いが作り続けていた。

 

チンギスは、圧倒的軍事力を誇りながら、ジャムカを恐れていた。

鉄を求め、歩兵(城攻め)を想定した布石をうち、先々を見据えた配置を次々と実行していく。 そんな予定通りの展開をしておきながら、満たされない思いを抱えていた。

戯れのごとく自分をさらし、ジャムカがそれを突く機会を作った。

 

怖がりながら、でも、求めていた。

 

経済的、肉体的に追い込まれたジャムカ軍が選んだのは、死に場所だった。

 

戦いを捨て、南で穏やかに暮らすタルグダイ夫婦。

まだ戦う決断をしないアインガ。

子午山の王進のごとく、マルガーシを鍛えるトクトア。

 

それ以外の生き方を選んだ漢たちがいる中、彼はその生き方を貫く。

 

最期の機会をつくり、挑んだ果ての突撃。

切ない。切ないよ。

 

主人公であるはずのチンギスにこの瞬間、鮮やかさも輝かしさもなかった。

傍から見たら予定通り、想定通りの展開が、そこにあった。

 

ジャムカがいなくなって、テムジンの日々が終わったことを知った。

あの草原の日々は、もう来ないんだな(涙)

 

 

その一方で、宣凱が残した梁山泊の記憶が、侯真の孫とのコラボで、次代へ引き継がれそうな気配。

最新刊(8巻)で描かれた出会いは、このための遠大な伏線だったとは!

 

震えがきたわ。

 

いつかチンギスが読むことはあるのかなあ。

 

小説すばる 2020年 08 月号 [雑誌]

小説すばる 2020年 08 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/07/17
  • メディア: 雑誌
 
チンギス紀 八 杳冥

チンギス紀 八 杳冥

  • 作者:北方 謙三
  • 発売日: 2020/07/15
  • メディア: 単行本
 

 

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